1977年に連載がスタートした松本零士さんの『銀河鉄道999』は、無限の宇宙を舞台にした壮大なSF作品だ。令和になった今、読み返してもまったく古臭さはなく、むしろ今の時代を予言しているかのような内容に驚愕することも多い。
そう感じる理由の一つに、謎めいた星に登場する“魅力的なアイテム”があるだろう。松本さんが執筆したのは今から45年以上前の昭和の時代なのに、作品にはまるで令和の時代にも通用できる道具が多数登場しているのだ。
今回はそんな未来を予見したかのような、作品に登場するアイテムたちを紹介したい。
■令和には似たアイテムも存在している「テーブル電子レンジ」
コミックス8巻「足音村の足音」に登場するのは、テーブルに置かれた料理が自動で温まるような装置だ。
「足音村」という暗い星に到着した999号。鉄郎とメーテルが泊まった古い宿の部屋には、到着時すでに豪華な料理がテーブルの上に並んでいた。
大きなカニ料理を見て「う~~まそ~~〜」と喜ぶ鉄郎。それに対し、メーテルは「テーブルが電子レンジみたいになってるから さめないわ。食べる前にプールで ひと泳ぎしてきましょう」と言っている。
その言葉の通り、そのテーブルにはレンジのつまみのような装置がついており、テーブルの上の料理が冷めないよう、自動で温度を維持する装置のようなものが付いているのだ。
通常温かい料理をテーブルに並べても、時間が経てばどんどん冷めてしまう。しかしこの機能がついたテーブルであれば、時間が経っても温かい料理がキープされるとあって大変便利だ。
このような機能が現代で実現していないのか調べたところ、「食品保温プレート」というものが販売されていた。これは折り畳みも可能なシート状のプレートであり、上に乗せた食品を保温モードにより最大6時間保温できるという。
令和の時代になって、似たようなアイテムが商品化されているとは驚きだ。松本さんの先見の明には恐れ入ってしまう。
■材料は不明だけど美味しそう!?「合成ラーメン」
999号の旅では、宇宙鉄道の分岐点の駅も登場する。コミックス5巻「トレーダー分岐点」でのエピソードで「トレーダー」という駅に降り立った鉄郎とメーテルはラーメンを食べるのだが、ここで登場したのが“合成ラーメン”というワードだ。
レストラン街でラーメンが食べたいという鉄郎。レジにいた主人に対し、メーテルは「ここのラーメンは合成ラーメン?」と尋ねる。すると主人は気まずそうに「そうだよ、うん……」と答えるものの、「大きな声じゃいえんが、じつは密輸品の本物ラーメンなの。倍うまいんだよ!!」と耳打ちしている。それを聞いたメーテルは「それはいいわ、じゃラーメンライスふたつ」と、注文するのであった。
この会話に出てくる“合成ラーメン”が何でできているのかは、明言されていない。だが、“本物ラーメン”があるということは、本物を真似て作られた“ラーメンのような食べ物”であることが推測される。
とくに令和の時代、ラーメンの材料は実に多岐にわたるため、どれが合成であるかと定義することは難しいだろう。だが、基本的にラーメンは小麦とかん水で作られるため、コンニャクなどを材料にした低糖質麺などは、合成ラーメンに近いのではないだろうか。
近年では地球温暖化の影響もあり、作物に影響が出ている。もしかするとラーメンの原材料である小麦が希少となる時代がやってきて、合成ラーメンが主流になる日が来るかもしれない。
合成ラーメンも美味しいかもしれないが、やっぱり王道のラーメンはずっと食べ続けたい……。本エピソードで描かれているような未来が来ないことを願うばかりである。