■コロナ禍や多様性も反映! 時代をうつした新コーナーも
『おかあさんといっしょ』には、昔から変わらないコーナーもあれば、新しく変化したものもたくさんある。
たとえば生活習慣を支援するコーナーとして、「たためるかな?」や「いただきます!」など、食事や身の回りのことについて子どもたちが自分の力で頑張る姿が放送されている。これは同年代の子どもたちが頑張る姿を見て、自分もやってみようと発達を促すことができると、親たちにも人気のコーナーだ。
食事をしたり、靴を履いたりとさまざまな日常生活動作をおこなうコーナーのなかで、2021年からは「ムームーのてをあらおう!」が追加された。
2021年と言えば、新型コロナウイルスによるパンデミックの真っ只なか。子どもたちが石けんで丁寧に手を洗う姿を見て、手洗いが苦手な子どもにアプローチをすることができ、助かった親も多いだろう。まさしくコロナ禍という激動の時代を反映する新コーナーだったように感じる。
そして時代を反映する動きは、大人気コーナーの人形劇にもあった。現在放送中の人形劇「ファンターネ!」は、主人公がカッパの女の子・みももと、ライオンの男の子・ルチータ、そしてひょうたんの子ども・やころになっている。
性別も種族もバラバラなこの3人。制作者たちは、「ファンターネ!」に現代における“多様性”を詰め込んだのだという。
丸いフォルムの可愛さから選ばれたひょうたんの子ども・やころには性別がなく、男の子と女の子のどちらでもない感性で意見を言えることから、性別にとらわれず、自分自身の意見を尊重してほしいという願いが込められた。
また遠くの島からやって来たルチータは、海外出身の子どもたちが文化の違いから生じるズレを感じていることを表現しており、インターナショナルになりつつある現在の社会だからこそのキャラ設定がされていた。
“イクメン”という言葉もあるように、現代では父親の子育て参加も増えてきた。そんな時代を反映してか、2013年からは『おとうさんといっしょ』という派生番組まで登場している『おかあさんといっしょ』。
こういったことからも、昭和から平成、そして令和へと時代を超えて、家族の形が変わりつつある今、身体能力や性別などで区別しない番組に変化しているように思う。
65周年を記念する企画が目白押しの『おかあさんといっしょ』。かつて子どもだった大人たちも楽しめるものばかりになっている。
10月30日には、特番「放送65年 おかあさんといっしょの魔法」が放送予定となっている。ぜひこの機会にお子さんと一緒に本番組を懐かしんで視聴してみてはいかがだろうか。