バロンズゥにオージェ、そしてリック・ディアスまで…「主役機だけじゃない!」 個性派メカで魅了「永野護デザイン」の色あせない独創性の画像
映画『ファイブスター物語』キービジュアル (C)1985・1986 MAMORU NAGANO (C)1988 KADOKAWA-PICTURES

 日本を代表するメカニックデザイナーである永野護氏は、『重戦機エルガイム』『機動戦士Zガンダム』『ブレンパワード』等、数々のロボットアニメ作品で秀逸なメカニックデザインを披露。氏ならではの独創的なセンスで描かれたメカ群に魅了されたファンは多いことだろう。

 永野氏が創り出したメカは、リアリティあふれる無骨なものから、「ナイト・オブ・ゴールド」や「キュベレイ」のように、どこか気品が感じられるような荘厳なデザインのものまで幅広い。

 そこで今回は永野護デザインのメカのなかでも、とくに筆者が衝撃を受けたものをピックアップして振り返りたい。

■『ブレンパワード』の世界観にマッチした有機的デザイン

 まずは永野護デザインのメカの中でも、とくに生物っぽさのある有機的デザインで目を引くのがアニメ『ブレンパワード』に登場する「バロンズゥ」だ。

 バロンズゥは、劇中で「アンチボディ」と呼ばれる「人型巨大無機物生命体」の1体。そのため多少のダメージは自己修復したり、機体自体が進化したりと、『ブレンパワード』ならではの特殊な設定がある巨大兵器である。

 ジョナサンやバロンが搭乗したバロンズゥは、肩部や手足のアーマーを始め、随所に曲線が用いられ、ユウ・ブレンなどと比べると手足は細くて長い。関節部の描写もより生物感が増しており、まさに有機的なデザインだ。

 また、肩部から伸びる触手のようなフィンは伸縮自在で、これを広げて展開した姿は、まるでマントをはためかせているかのように威風堂々としている。

 ジョナサンの乗ったバロンズゥの純白ボディには気品も感じられ、肩や脚部、フィンの先端などの差し色に使われたグリーンは、まるで荘厳な建造物に苔でも生えているかのような印象を受けた。

 生物的なグロテスクさをうっすら秘めながらも、美しくスタイリッシュに仕上げられたフォルムは「さすがは永野護」と言いたくなる完成度で、同作のラスボスにふさわしい機体に思えた。

■チャレンジングな金色設定に衝撃を受けたA級ヘビーメタル!

 「永野護デザインといったら、この機体は外せない!」そんなインパクトあふれる機体が『重戦機エルガイム』に登場したA級ヘビーメタル「オージェ」だ。

 仮面のような頭部デザインに、両肩に装備した巨大アーマー。そのなかは武器コンテナのようになっており、大量のランサーを備えていた。

 そして同機の最大の特徴は、全身ゴールドという斬新なカラーリングだ。ちなみに、このアニメより後に放送された『機動戦士Zガンダム』にも全身金ピカの「百式」が登場するが、こちらも永野護氏のデザインである。

「ナイト・オブ・ゴールド」もそうだが、やはり永野護氏といえば金ピカメカの印象が強く、とくにオージェは忘れられない1体だ。

 また、オージェには派生機も多く、そのどれもが美しく洗練されている。ネイが乗ったレプリカの「オージェ」のほか、ポセイダルの「オージ」、オージェと対を成す「プディン・オージェ」、それに自身が手掛けた漫画『ファイブスター物語』にもオージェの名を引き継いだ「オージェ・アルスキュル」が登場する。

 オージェを通じて『エルガイム』と『ファイブスター物語』がつながるのはアツい演出だ。

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