■能力者集団+“青キジ”はもはや反則!「黒ひげ海賊団」
マリンフォード頂上戦争で世界中に悪名を轟かせた“黒ひげ”ことマーシャル・D・ティーチ率いる「黒ひげ海賊団」も侮れない。
彼らは、悪魔の実の能力者から能力を奪う「能力者狩り」を繰り返しており、幹部のほぼ全員が能力者である。ティーチにいたってはエースを破った“ヤミヤミの実”と白ひげから奪った“グラグラの実”の能力を兼ね備えており、非常に厄介な存在だ。
極めつけは、元海軍大将“青雉”クザンの加入だ。海軍の最高戦力と称えられた“ヒエヒエの実”の能力はなおも健在。他の四皇が黒ひげ海賊団と対決するなら、青雉に最高戦力をぶつけるべきだろう。「エッグヘッド編」で青キジと同格の黄猿が“ギア5”のルフィと互角に渡りあった描写が、その可能性を示している。
このアドバンテージはかなり大きい、というか、もはやインチキではなかろうか……。
四皇随一の能力者集団と化した黒ひげ海賊団。しいて懸念をあげるなら、青キジが海賊となった真意が明かされていない点だ。もしティーチに協力するフリをしているだけなら、盤石の布陣に隙が生まれるかもしれない。
■バギーのカリスマ性とミホーク、クロコダイルの2枚看板「クロスギルド」
最後は、海兵に賞金を懸ける前代未聞の事業を展開する犯罪組織「クロスギルド」だ。トップに君臨する“千両道化”のバギーは「東の海(イーストブルー)」レベルの弱小海賊だが、彼に従う部下がとにかくすごい。
まず世界最強の剣豪、ジュラキュール・ミホークの力は四皇の船長クラスに匹敵する。懸賞金35億9000万ベリーは、組織の長ではない幹部キャラとしては作中トップだ。
また、元王下七武海のサー・クロコダイルも最高幹部としてクロスギルドに参加している。“スナスナの実”の能力による戦闘力はもちろん、かつてアラバスタを支配しかけた策謀は脅威そのものだろう。
ミホークとクロコダイルの二大巨頭に加え、配下も「インペルダウン」に囚われていた名うての極悪人が揃っている。トップのバギーはたいして強くないが、他のメンバーが強力無比という異色の構成が面白い。
ではバギーがお飾りのリーダーかといえば、そうとも言い切れない。バギーのなぜか大物を従えてしまう幸運や、本人も自覚していないカリスマ性こそが、ならず者だらけのクロスギルドをひとつにまとめあげているのは事実だからだ。
第1082話ではバギーが海賊王をめざすと宣言し、配下たちの士気をこの上なく高めたシーンもある。トップの資質とは戦闘力だけではないと言えるだろう。
現時点での四皇の組織としての強さや現状を見てきた。最後に、筆者の見解を述べておきたい。
中核メンバーの戦闘力では、赤髪海賊団と黒ひげ海賊団が数、質ともに非常に優秀だ。組織としての完成度でいえば、バギーのカリスマ性とクロコダイルのマネジメントで統率されたクロスギルドが目立つ。そして麦わら大船団は個の力、組織力ともに突出していないが、バランスがとれている印象だ。
少なくとも、現時点で特定の海賊団がずば抜けているとはいえない。熾烈な海賊王レースの最終盤で訪れるであろう四皇同士の衝突がどんな戦いになるか……今から楽しみで仕方ない。