■『美味しんぼ』山岡士郎「人間いつ死ぬかわからないんですよ 飲める時に飲んどかなきゃ」
不朽のグルメ漫画『美味しんぼ』(作:雁屋哲さん、画:花咲アキラさん)では、古今東西さまざまな料理を扱っており、そのなかにはお酒がメインのエピソードもある。
コミックス第4巻収録「酒の効用」において、主人公の山岡士郎は、東西新聞社取締役・小泉鏡一とワインVS日本酒の勝負をすることに。ワインに絶対の自信を持つ小泉に誘われ自慢のワインコレクションを見せられた山岡は、好みのワインを次々持っていこうとする。
勝負に使うとはいえ、大事な年代物を持っていかれてはたまらない。小泉は止めるが、山岡はまったく悪びれない。
「人間いつ死ぬかわからないんですよ、飲める時に飲んどかなきゃ」
そう言い切り、ワインを持って行ってしまうのだ。
ワインは後生大事に飾るものではなく、飲むためのお酒にすぎない。ならば機会が来たら飲んでしまうべきなのだ。態度はぶっきらぼうだが、食事には真剣な山岡らしいセリフといえる。
■『ルパン三世』次元大介「こいつ(酒)さえあれば俺の心はいつも夏」
『ルパン三世』(モンキー・パンチさん)の次元大介といえば、“男の憧れ”として確固たる地位を築いているキャラだ。そんな次元は、プライベートではバーボンを愛飲する伊達男でもある。
アニメ版『ルパン三世 PART2』の第108話「哀しみの斬鉄剣」では、次元の酒好きとしての一面が見られる。
見渡すばかりの野原で独りくつろぐ次元は、バーボンと共に休暇を楽しんでいた。銭形警部の演説が流れるラジオを消してから、ご機嫌にこうつぶやく。
「こいつ(酒)さえあれば、俺の心はいつも夏」「俺たちの休暇に乾杯」
そしてバーボンを軽やかに飲み干す。短いセリフだが、普段はルパンの無茶に振り回されがちな次元のウキウキっぷりが微笑ましく、片手のバーボンが美味しそうに見えて仕方ない。
どんな場所でも季節でも、お気に入りのお酒さえあれば常夏のバカンスのように満喫できる。そんなお酒があれば人生はどんなに楽しいだろう。次元にとってのバーボンと、筆者もいつか出会いたいものである。
子どもの新鮮な感受性があってこそ面白いと感じる作品があるように、大人だからこそ深みが理解できる作品もある。漫画やアニメに年齢制限はないが、年齢に応じて楽しみ方は変わるかもしれない。お酒にまつわる名言たちは、その最たる例だ。
今夜の晩酌は、好きな漫画やアニメを肴にしてみてはいかがだろう。かつては気づけなかった“味”に気づけるかも?