■1秒も雨がやまない「泥のメーテル」
コミックス3巻に掲載されている『泥のメーテル』に登場する星「雨の都」は、その名の通り雨が降り続く星だ。この世の歴史が始まって以来雨は降り続き、1秒も降りやんだことはないという。
鉄郎はこの星で泥の池に引きずり込まれてしまう。そして泥のなかにある空気の玉に住むメーテルという女性に、一緒に暮らしてほしいと頼まれる。この星のメーテルは泥のなかに住むことに適した体をしており、空気の玉で快適に暮らしていた。だが、一緒に暮らす人がおらず寂しさゆえ、鉄郎を強引にとどまらせようとした。
最終的に泥のメーテルは鉄郎とともに999号に乗るものの、乾いた空気に体が順応せず、泥の粉になって砕けてしまう。やはり未来永劫降り続く雨のなかで暮らすには、その環境に慣れた体が必要だったのだろう。
本作は、異なる世界の者同士が共に生きることの難しさにも触れているエピソードのように思う。
今回紹介したエピソードの気候は、いずれも地球人にとってはかなり住みにくいものだろう。雪や雨といった気候は馴染みがあるものの、時々降るからありがたいものであって、未来永劫降り続くのは勘弁してほしいものである。
それでも松本さんの描く『銀河鉄道999』には、そのような星でたくましく生きる者たちの姿が魅力的に描かれている。実際に地球でそのような天候が起きることは少ないだろうが、本作を通じてどのような状況でも力強く生きる姿勢を学びたいものだ。