■頭が良すぎるのも困りもの? 『エスパー魔美』高畑和夫
『マンガくん』(小学館)にて1976年から連載された『エスパー魔美』にも、ハイスペックなキャラクターが登場する。
本作は平凡な生活を送っていた女子中学生の主人公・佐倉魔美が、突如、内に秘めていた超能力に目覚め、“エスパー”として人助けをおこない活躍していくという、日常とSF要素をミックスしたコメディ作品だ。
そんな本作において、その人柄の良さとスペックの高さで活躍したのが、魔美のボーイフレンド・高畑和夫だ。魔美の協力者としてたびたび姿を現し、彼女からは“高畑さん”の呼称で慕われている。見た目こそ朗らかな雰囲気の普通の男性だが、彼の最大の特徴といえば常人離れした“頭の良さ”だ。
唐突に“後楽園球場の人工芝の総本数”を聞かれ、即答するなんてことは序の口。授業を一回聞くだけでほとんどの内容は理解してしまうため、テストでは難なく満点をたたき出してしまう。
他人から見ればなんとも羨ましい特徴だが、実はこの地頭の良さは高畑にとってコンプレックスにもなっていた。彼はその頭の良さゆえに他者から妬まれることも少なくはないため、わざと100点を取らないよう問題を間違えるなど、常人には理解しがたい独特の苦悩を抱えていたのである。
ちなみに頭脳以外もハイスペックな点が多く、とくに料理をはじめとする家事全般はお手の物。魔美とは違って、生活力にも長けている。持ち前の凄まじい頭脳と柔らかい人間性で魔美をサポートする高畑は、本作になくてはならない魅力的なキャラクターだった。
見た目こそ冴えないものの、実は凄まじい能力や経歴を隠し持っているなど、キャラクターたちの思いがけない二面性には驚かされる。優れた商才、高学歴、卓越した頭脳……常人離れしたハイスペックさの数々は、見ているこちらまで、つい羨ましくなってしまう。
そんなユニークな彼らを生み出した「藤子・F・不二雄」作品。あらためて読み返してみてはいかがだろうか。