1992年より『週刊少年マガジン』(講談社)で連載がはじまった『金田一少年の事件簿』(原作・天樹征丸さん、金成陽三郎さん、漫画・さとうふみやさん)は、ミステリー漫画の金字塔ともいえる作品だ。1995年からは5シリーズにわたって実写ドラマも制作され、さまざまな俳優が主人公・金田一一を熱演している。
本作には残酷な殺人犯が登場するが、このドラマ版では意外な女優たちが犯人役として抜擢されており、金田一たちの敵として立ちはだかった。今回は、ドラマ版『金田一少年の事件簿』で、犯人を演じた女優たちを紹介していこう。
■“初代金田一”との名勝負は必見…「悪魔組曲殺人事件」国生さゆり
ドラマ版『金田一少年の事件簿』では数々の俳優が主人公・一を演じているが、なかでも堂本剛さんが主演を務めた“初代金田一”を色濃く覚えている視聴者は多いだろう。
この初代ドラマ版において意外な女優が登場していた事件と言えば、ドラマCDのエピソードを元に構成された「悪魔組曲殺人事件」である。
一らが偶然立ち寄ることになった山荘を舞台に、世界的に有名な作曲家・御堂周一郎が作り上げた「悪魔組曲」になぞらえた形で殺人が繰り広げられていく内容で、ドラマ版では“御堂周一郎の亡霊”と名乗る怪人が犯人として暗躍していく。
この亡霊は黒マントに凄まじい形相をした白いマスクという不気味極まりない姿をしており、ときには弓矢といった武器を使用するなど、多彩な方法で人々を殺めていった。
そんなインパクト大な怪人の正体は、紅亜理沙という女性だった。この犯人役を演じたのが、元『おニャン子クラブ』の国生さゆりさんだ。
亜理沙は世界的に有名な作曲家・御堂の弟子として登場するが、実は御堂とは恋人関係にあった。「悪魔組曲」を奪おうとした人物を衝動的に殺害したことをきっかけに、“御堂周一郎の亡霊”へと変貌することとなる。
国生さんはその美しさもさることながら、重厚な演技力によって多くの人間を殺めた犯人・亜理沙を熱演。堂本さん演じる“初代金田一”との対決シーンは、まさに必見の出来栄えである。
■姿なく人々を消していく“幽霊船長”の正体…「幽霊客船殺人事件」雛形あきこ
『金田一少年の事件簿』は小説版も刊行されており、原作者の天樹さんが小説オリジナルのエピソードを書き上げていることでも知られている。なかでも、のちにドラマ化された人気のエピソードと言えば、「幽霊客船殺人事件」だろう。
本作は主人公・一役を「嵐」の松本潤さんが演じたことでも話題を呼んだが、そのほかにも石原良純さんや伊武雅刀さん、いかりや長介さんといった豪華俳優陣が集結している。
事件は海上を進む客船という疑似的な密室空間で起こる。一人、また一人と登場人物が消えていく様子が非常に恐ろしく、手に汗握る展開が続く。
そんな本作において犯人の香取洋子を演じているのが、グラビアアイドルを経て女優、声優、歌手といった幅広い分野で活躍している雛形あきこさんだ。
小笠原行きの客船・コバルトマリン号で雑用係として働く洋子。客船に乗り込んだ一たちを案内したり、食事を準備したりと随所で活躍を見せるのだが、実はこれらは仮の姿……。彼女こそ本作で数々の殺人を犯していた“幽霊船長”の正体だった。
一に犯人だと突き止められるとキッと冷たい目線を向け「あんたなんかに私の何が分かるって言うのよ!」と、敵意丸出しの言葉を投げかける。これまでの優しそうな姿はどこへやら、この凄まじい豹変っぷりに驚いた視聴者も多かっただろう。
しかも作中で雛形さんは、偶然にも一と唇を重ねてしまうキスシーンも披露。物語の随所で雛形さんの意外な一面を垣間見ることができる、実にレアなエピソードと言えるかもしれない。