『ボルテスV レガシー』に『グレンダイザー』『ゲッターロボ』まで、名作復活に「意外な支援者」…令和に蘇る「昭和ロボットアニメ」に込められた「熱量」の画像
「ボルテスV レガシー」ポスタービジュアル (C)TOEI Co. Ltd, Telesuccess All Rights Reserved

 本日10月18日より、劇場映画『ボルテスVレガシー』が公開となる。この映画は、1977年から78年にかけて、日本でテレビ放映されたロボットアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』をリメイクした実写作品。それも日本ではなく、『ボルテスV』を熱狂的に支持するフィリピンにて製作された。

 2023年11月に『VOLTES V:LEGACY(原題)』のトレーラー映像が(日本語字幕つきで)YouTubeで公開された際は、日本の往年のファン、ならびに『ボルテスV』を知らない若者までもが、その完成度の高さに衝撃を受けていた。

 このように、最近は懐かしのロボットアニメのリバイバル作品が目立つ。そこで今回は、少し変わったかたちで令和によみがえることになった「昭和のロボットアニメ」を紹介しよう。

■フィリピン国民から熱烈な支持 『超電磁マシーン ボルテスV』

 長浜忠夫監督が手がけた『超電磁マシーン ボルテスV』は、『超電磁ロボ コン・バトラーV』『闘将ダイモス』などと合わせて「長浜ロマンロボシリーズ」と呼ばれる70年代に製作された作品だ。

 地球から遠く離れたボアザン星のボアザン帝国では、頭に二本の「角」がある者は貴族として、それ以外の者を支配する社会。そんな彼らはボアザンの皇子、プリンス・ハイネル(『レガシー』ではプリンス・ザルドス)率いる侵略軍を地球へと送りこむが、それを迎え討つのが5人の若者が搭乗する合体ロボ「ボルテスV」だった。

 日本でも人気を集めた懐かしいロボットアニメだが、それ以上にフィリピンで熱烈な支持を受けた背景には大きな「要因」があった。

 1978年にフィリピンの国営放送で『ボルテスV』が放映されると、最高視聴率58%を記録する超人気番組に。ところが、当時のフィリピンはフェルディナンド・マルコス大統領による独裁政権のまっただ中で、最終話を目前にして政府により放送中止にされてしまう。

 そして1986年、民衆革命によってマルコス政権が崩壊すると、途中で中断された『ボステスV』が放送再開。その後もフィリピンでは再放送が行われ、世代を超えた絶大な人気を集めることになる。

 すると2020年、フィリピンで実写によるリメイク版ドラマ『VOLTES V:LEGACY』の制作が決定。全90話もあり、原作アニメ(全40話)を超えるボリュームとなった。

 そして本日から日本で劇場公開される『ボルテスV レガシー』は、ドラマ版の一部をもとに映画化されたものである。

 なお、フィリピンのテレビシリーズ版を全20話に再編集した『ボルテスVレガシー 超電磁リスペクトTV版』も、2024年11月12日からTOKYO MXで放映される。

 このように『ボルテスVレガシー』とは、フィリピンからリスペクトをもって届けられた「大きすぎる愛」のかたちなのだ。

■中東の皇太子がリブート作品に関係? 『UFOロボ グレンダイザー』

 今年の夏アニメとしてテレビ放映を開始した『グレンダイザーU』は、永井豪原作のロボットアニメ『UFOロボ グレンダイザー』(1975年から放映)のリブート作品だ。

 ベガ星連合に故郷のフリード星を滅ぼされた王子デューク・フリード(宇門大介)が、第二の故郷・地球を守るためグレンダイザーに搭乗して戦う物語。「マジンガーシリーズ」の3作目でありながら、主役機の名前が“グレンダイザー”という変わり種だ。70年代のUFOブームを反映し、当時は円盤(スペイザー)との合体形態がかなりインパクトがあった。

 そんな『グレンダイザー』のリブート作品が発表され、ひそかに話題になったのが、同アニメの製作にサウジアラビアの“王族”まで関わっていることだ。

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、日本の漫画やアニメ好きで知られる人物。今回の『グレンダイザーU』のライセンス契約を結んだ中東のコンテンツ会社「マンガ・プロダクションズ」は、実はムハンマド皇太子が創設したミスク財団の子会社なのである。

 サウジアラビアをはじめ、中東諸国では『UFOロボ グレンダイザー』は驚異的な人気を誇り、2022年12月に首都リヤドで開催されたイベントで世界最大のグレンダイザー像を製作したのも、マンガ・プロダクションズ(セラ社と共同製作)だった。

『グレンダイザー』のリブート作が実現した背景には、このような海外からの絶大な支持があったのは間違いないだろう。

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