ナツコ、ビビンバ、アリサ…レアキャラでも“癒し系ヒロイン”『キン肉マン』超人たちが愛した「たおやかな女」たちの画像
『キン肉マン 完璧超人始祖編』 (c)ゆでたまご/集英社・キン肉マン製作委員会

 1979年から『週刊少年ジャンプ』で連載がスタートした、嶋田隆司氏と中井義則氏による漫画ユニット・ゆでたまごによる漫画『キン肉マン』。一度は連載を終了したが、『キン肉マンII世』の連載を経て、2012年からは『週プレNEWS』で正式な続編として連載が再開されており、2024年7月クールからは新アニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』が放送され、令和に再びキン肉マン旋風を巻き起こしている。

 超人同士の戦いが描かれる本作にあって、女性キャラの活躍の場は非常に少ない。だが、実は『キン肉マン』に登場する女性キャラは、男性キャラにも負けないほど、個性的で魅力あふれる人物ばかりだ。

■アニメでは試合実況の名手でもあった翔野ナツコ

 たとえば、連載初期、まだ怪獣退治をメインとしたギャグ漫画だった頃に、雑誌『週刊HERO』の記者として登場した翔野ナツコ。気の強いキャラで、同時期に登場していた二階堂マリとともに、作品のヒロイン的存在だった。

 そんなナツコを印象付けたのがキン骨マンたちの策略にはまって巨大化し、理性を失ったナツコが街を破壊しようと暴れ回ったシーンだ。テリーマンが巨大化したナツコを抱きしめ、「ナツコを愛している」の一言で、彼女は街の破壊をやめるのである。『キン肉マン』という漫画で描かれた数少ない恋愛要素であり、それ以降ナツコはテリーマンの恋人的な立ち位置となる。

 ただ、超人同士の真剣勝負がメインとなってきた2回目の超人オリンピックのあたりからは、すっかりフェードアウト。以降は姿を見なくなったが、最後までギャグパートを残していたテレビアニメ版では継続して登場し、途中で試合の実況をしたこともある。旧アニメを見ていた人にとってナツコは印象に残っているキャラだろう。

 なお、ナツコは連載が再開された38巻で久々に登場し、「平和になったら結婚式を挙げようって約束したじゃない」と、テリーマンに向けて話している。アニメファンには嬉しい登場だが、原作漫画しか読んでいない人には「見てないところで何をやってたんだ?」と思わせてくれたセリフでもあった。

■王位争奪戦を盛り上げたビビンバ

 続いては、ホルモン族の超人として7巻で初登場したホルモン・ビビンバ。彼女は『キン肉マン』には珍しい女性超人である。

 希少な女性超人でもあるビビンバの母親はキン肉族との戦いで死亡しており、彼女は母の仇として、同じキン肉族のキン肉マンの命を狙った。だが、戦いの中でキン肉マンの優しさに触れ、恋愛感情を抱くようになる。ただ、2人の恋愛シーンは描かれることなく、ビビンバはいつの間にかモブキャラになってしまっていた。

 そんなビビンバが33巻で再登場した際は、読者を驚かせてくれた。キン肉星王位争奪戦の決勝戦で、キン肉マンチームとキン肉マンスーパーフェニックスチームが戦っていた最中である。

 何が驚きかといえば、その見た目。ビビンバが登場していた連載初期と比べて大きく変化し、再登場の際には「この美女は誰?」と多くの読者が思ったに違いない。

 顔面が砕け、醜くなったビビンバの顔を見たフェニックスはビビンバへの愛情が冷めてしまうが、キン肉マンは「わたしの目にはいつもの輝かんばかりの美貌と愛くるしいおまえしか見えん」と告げ、マスクをとって血まみれの彼女の顔に口づけをする。

 そのときキン肉王家に伝わる奇跡の光「フェイス・フラッシュ」が放たれ、ビビンバの顔の傷が癒えていった。

 ビビンバへの愛情を深めたキン肉マンは、最終的にマッスル・スパークを炸裂させてフェニックスに勝利。キン肉星の第58代目新大王となったキン肉マンは、ビビンバを王妃に迎えるという結末につながった。

 彼女こそが王位争奪戦の終盤を盛り上げた女性キャラであったと言っても過言ではないだろう。

 だが、アニメ版ではビビンバが登場せず、キン肉マンはずっとマリさんと仲良くしていた。それをずっと見てきたファンの中には、終盤に突然現れて王妃の座についたビビンバに何か煮え切らないものを感じた人もいたかもしれない。

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