■ダイよりもポップを警戒していた死神キルバーン
最後は、こちらも魔王軍の幹部である死神キルバーンだ。クロコダインのように改心することはないが、彼もポップのことをかなり評価しており、成長度だけではダイ以上の存在だと見抜いていた。
最終決戦となったバーンパレスにて、ダイはハドラーとの対決で体力と魔法力が尽きかけていた。そこへ「ダイヤ・ナイン」という殺しの罠(キル・トラップ)を発動させたキルバーン。8カ所から凄まじい炎が上空の1カ所に集まり、9つ目となって地面のダイとハドラーを襲う。しかし、そこへ何かあると読み、すんでのところで飛び込んだのがポップだった。
ヒャダルコで防御するキルバーンだったが「……チッ……いつもいつも……あのボウヤはっ……」と、一瞬間を置くも大魔王バーンの元へ戻る。そう、ダイヤ・ナインは防がれたわけではない。いずれはポップの魔法力が尽き、3人とも炎に巻き込まれてしまうことは明白だった。
だが、機転を利かせたポップはメドローアで上空の一点に集まる炎に風穴を開け、ダイのルーラで逃げようと試みる。そして、自らを犠牲にしたハドラーが魔法力で助けに入り、ポップがメドローアを放ち、すかさずダイがルーラを唱えた。
しかし、この方法で脱出に成功したのはダイだけだった。ポップは崩れ行くハドラーに目を奪われ動けず、彼を救出しようとした結果、魔法力が尽きて脱出できなくなってしまったのだ。
肝心のダイには逃げられたものの、キルバーンは上機嫌だった。さしものバーンはちょっとイラついた感じだったが、キルバーンは「むしろ あのボウヤが死んでくれたほうがありがたい」とご満悦。
「人間如きをえらく高く買ったものよ」とバーンは言っていたが、大魔王としてはポップの存在なんてまだまだちっぽけなものだったのだろう。
最終的にはポップの名前を覚えるほど、バーンは彼を認めていくことになる。この段階でキルバーンのようにポップの潜在能力を認識していたら、最終決戦で破れることはなかったかもしれない。
最初はザコ扱いされながらも、究極に成長していくポップ。ファンの間では“裏主人公”なんて呼ばれることもあるが、それほどに魅力的でカッコ良い存在であることは間違いない。