『ワンピース』元海軍大将“青キジ”クザンが「黒ひげ海賊団」にいる目的は何なのか考察 「堕ちた大将?」「まだつながってる?」の画像
DVD「ONE PIECE Log Collection “FOXY”」(エイベックス・ピクチャーズ) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 少年漫画『ONE PIECE(ワンピース)』の世界において、海の平和をつかさどる海軍という組織。その中でも最高峰の実力を有する“海軍大将”は、世界政府の最高戦力とも謳われる。

“青キジ”ことクザンは、作中でいちばん最初に登場した海軍大将だったが、紆余曲折の末に、現在は四皇の一角「黒ひげ海賊団」のメンバーとなっている。

 海軍大将にまでのぼりつめた実力者が、なぜ悪名高き「黒ひげ海賊団」に入ることになったのか、いまだ謎の多い彼の行動を深堀りしていこう。

 

※本記事には、クザンと戦ったガープの結末など、『ワンピース』のコミックス未収録部分のネタバレが含まれています。気になる方はご注意ください。

■「利害の一致」から黒ひげ海賊団へ

 クザンが海軍を離脱することになったのは、2年前に勃発したマリンフォード頂上戦争の終結後だ。当時の海軍元帥センゴクが引退したことで、次期元帥に推薦された彼は、政府上層部から推された“赤犬”サカズキに反発。パンクハザードで10日間にも及ぶ決闘の末、サカズキに敗れた。

 そして彼の下につくことを拒否したクザンは、海軍を去ることになる。

 何より気になるのは「その後」の話だ。海軍を抜けたあと、とある町の酒場で飲んだくれていたクザンは、「黒ひげ海賊団」と接触する。なりゆきで一緒に酒を酌み交わすと意気投合、黒ひげから「お前 おれの船に乗らねェか!!?」と勧誘された。

 少し酒を一緒に飲んだ程度で信用できないと拒否したクザンだが、黒ひげが海賊は仲良し軍団ではないといい、「海賊ってのは利害が一致してりゃいいのさ」と告げたあと、海賊団入りを承諾している。

 直接勧誘した黒ひげの思惑はさておき、バージェスやラフィットといった「黒ひげ海賊団」の古株メンバーからは手放しで信用されておらず、またクザンも同様の考えだと思われる。

 ティーチが伝えた「利害の一致」の部分にクザンはメリットを感じたように見え、少なくとも黒ひげ海賊団の掲げる目標に賛同して仲間入りを果たしたわけではないだろう。

■海軍特殊部隊「SWORD」との関係は?

 海軍脱退後、クザンが再登場したのは2年後のパンクハザード編でのこと。ドフラミンゴに襲撃されたスモーカー中将を助けると、そのスモーカーに「海軍に所属しなくても、実行できる事はある」「所属しねェから見えてくるもんもある」と告げている。

 このセリフから、クザンは意味もなく放浪していたわけではなく、何かの目的のために動いていたように聞こえる。

 その後、黒ひげが“ロッキーポート事件の英雄”コビーを拉致し、世界政府や海軍に対する交渉材料として利用しようと考えていたところ、コビー自らが海軍機密特殊部隊「SWORD」の一員であることを明かした。

 クザンいわく、SWORDとは、いわば辞表提出済みの海兵のこと。独立した遊撃隊のような立ち位置らしく、あらゆる命令を無視して行動可能で、四皇にすら勝手にケンカを売れる存在だという。

 ただし海軍側は、海兵の認識番号であるマリンコードを返上したSWORDの隊員に何の責任も負うことはなく、いつでも切り捨てられる存在だと明かした。

 そして、この場面でのクザンとコビーの様子に不自然なものを感じた読者から、もしかするとクザンもSWORDの一員、もしくはそれに近しい存在ではないか、と考察する声があがった。

 たしかに拉致されたコビーは、黒ひげの傍らにクザンがいることに不思議なほど無反応に見えた。

 コビーにとって目標でもある海軍大将だった元上官が、海賊に加担していたことに対して、何か反応があってもよさそうだ。あらかじめコビーは、クザンが黒ひげ海賊団にいることを知っていたのだろうか。

 現在SWORDの隊長を務めるX・ドレークは、海軍でありながら海賊として活動し、元四皇のカイドウ率いる「百獣海賊団」の幹部まで務めた。もちろん、その目的はSWORDとして諜報活動を行うためだ。

 その前例がある以上、クザンとSWORDの関係性を疑う声があがるのも当然のことだろう。黒ひげの進める計画が世界を揺るがすものだとしたら、潜入調査の可能性も考えられないだろうか。

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