■国民的人気アニメの動きを究極再現!
最後に紹介したいのは、バンダイが1996年に発売した『ドラゴンボールZ HYPER DIMENSION』です。同作は『ドラゴンボールZ 超武闘伝』シリーズの集大成的な作品で、スーパーファミコンで発売されたシリーズ最終作でもあります。
2D対戦格闘ゲーム(一部3D攻撃なども存在しますが)として、さらにブラッシュアップされ、アニメのセル画風の色味だった過去作に比べて、濃い陰影がつけられたリアルな彩色になっているのが特徴。オープニング映像では、空を見上げる悟空の姿が描かれており、風になびく繊細な髪の動きなど、とてもスーファミの映像とは思えないほどのアニメーションの滑らかさを実現しています。
また、バトル時のキャラクターのアクションは、ドット絵でアニメ『ドラゴンボールZ』の動きを忠実に再現し、本物の声優たちによるボイスまでしっかりついています。気を高めたときのエフェクトや、ダメージを受けたときの“のけぞる動き”などは、まさにテレビアニメのキャラそのもの。「よくここまでスーファミで表現できたな」というのが当時の率直な感想でした。
そして「ストーリーモード」の会話シーンでは、それぞれのキャラクターの顔が大きく描かれています。細部に至るまで緻密なドットで表現されたキャラ絵は、もはやアニメと遜色ないレベルのクオリティで、ストーリーを盛り上げてくれました。
『バハムートラグーン』や『ドラゴンボールZ HYPER DIMENSION』が世に出た1996年といえば、すでに「プレイステーション」や「セガサターン」といった次世代機も発売されています。大容量の光学ディスクを活かした、実写さながらの映像が手軽に見られるようになりましたが、ハード的な制約が多いスーパーファミコンで、工夫しながら美しい映像を実現したゲームにも、それに負けないだけの魅力がありました。