昨年まで放送された『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では、テレビシリーズ初となる女性主人公のスレッタ・マーキュリーが登場して話題を呼んだ。
そんな彼女の愛機「ガンダム・エアリアル」は、どことなく丸みを帯びたフォルムや腰部の“くびれ”などが特徴的で、女性パイロットによく似合ったビジュアルをしていた。
もちろん、そのほかのガンダム作品にも魅力的な女性パイロットが多数登場する。彼女たちが搭乗した機体も、どこかパイロットを連想させる美しい造形をしているものが多い印象だ。
そこで今回は、女性搭乗者のイメージにピッタリだと感じた、デザインが美しかった機体たちを振り返っていこう。
■漆黒の宇宙を舞う白きモビルスーツ
まず最初に紹介したいのは、『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』に登場したハマーン・カーンの愛機「キュベレイ」。一年戦争時にララァ・スンが乗っていたモビルアーマー「エルメス」の流れを汲むモビルスーツだ。
エルメスのビットを進化させた「ファンネル」を主要武器に、カミーユ・ビダンやクワトロ・バジーナ、ジュドー・アーシタらと激闘を繰り広げた機体でもある。
曲面や流線型を多用した優雅で洗練されたデザインで、大きな4枚の羽を思わせる肩部のバインダーが目を引く。機体カラーは白が基調になっており、随所にピンクを差し色として使用。同機のメカニックデザインを担当した永野護氏は、搭乗者であるハマーンのイメージに合わせて配色したことを明かしている。
ゴテゴテした武器を持たず、ファンネルと腕部のビーム・ガン、そしてビーム・サーベルのみというシンプルな構成なのも、スッキリとしたシルエットを生み出した要因といえるだろう。
肩部バインダーは機体を覆うことでシールドのような役割も果たし、そのバインダーを広げた姿は、まるで白い蝶が羽ばたいているようにも見える神々しい機体だ。
■気品あふれるお嬢様にふさわしい専用機
次に紹介するのは、映画『機動戦士ガンダムF91』に登場した、“セシリー・フェアチャイルド”ことベラ・ロナが乗りこんだ試作モビルスーツ「ビギナ・ギナ」だ。
クロスボーン・バンガードの機体ながら、あの遮光器土偶のようなフェイスではなく、スタイリッシュな頭部バイザーを採用。落ち着いたグレー系に紫という配色は、高貴な血筋のベラ・ロナの専用機にふさわしい、気品に満ちた色合いになっている。
全体的に曲面を主体に構成されたフォルムは、ベラ・ロナのイメージに合っており、背部に「フィン・ノズル」と呼ばれる可動式スラスターを8基搭載。この独立可動するフィン・ノズルがあることで、どちらかというと華奢に見えるビギナ・ギナに、厚みと立体感をもたらしている。
主役機であるシーブック・アノーのF91と並んでも遜色ない、スタイリッシュかつ、とても美しいビジュアルの機体だ。ちなみに同機のメカデザインを担当したのは大河原邦男氏である。