■17号と18号と戦った悟飯の無惨な死
ピッコロをはじめZ戦士たちの死によって、この世界の悟飯も超サイヤ人へと覚醒している。しかし、超サイヤ人となっても17号と18号を相手にするには限界があり、ましてや2人を同時に相手にする状況ではまったく歯が立たない。そして中盤の遊園地での戦闘で、悟飯はトランクスをかばう形で左腕を失ってしまう。
それでも悟飯は、暴れ続ける人造人間たちに立ち向かうことを決意。共に戦おうとするトランクスを気絶させ、ひとりで戦いに挑む。最後の希望であるトランクスを守るためだ。そして土砂降りのなか、人造人間たちに必死に抗う悟飯だったが、圧倒的な力の前に敗北し、無数のエネルギー弾を浴びて命を落としてしまうのだった。
トランクスが目を覚ました時には、すでに悟飯の“気”はなくなっていた。見つけた悟飯の姿は、水たまりに顔を突っ込み絶命しているという、本作の中でもとくに悲壮感を感じさせるシーンであった。
■3年後トランクスが戦いを挑むも…
悟飯を失ったトランクスは、怒りと悲しみのなかで超サイヤ人へと覚醒し、さらに3年間の修行を積む。「あの頃の悟飯よりも強くなった」という自信を持ち、再び人造人間たちに戦いを挑むトランクス。
しかし、力の差は依然として圧倒的で、17号と18号から「確かに以前よりは数倍パワーが上がっている」「だけど攻撃が直線的だよ そんなの疲れるだけだと思うけど」などと、冷静に指摘される始末。
その後、戦意を喪失したトランクスは息を切らして逃げ、怯えながら隠れるが、すぐに発見されてしまう。苦し紛れの攻撃を仕掛けるトランクスの姿は、見るのもつらいものがあった。
やはり一人での修行には限界があったのだろう。技術的にも精神的にも悟飯には及ばないように感じられる。この戦いからも運良く生き延びるトランクスであったが、そこには変わらない絶望があった……。
今回は、孫悟空が死んでしまう絶望の世界線が描かれた『ドラゴンボールZ 絶望への反抗!! 残された超戦士 悟飯とトランクス』を紹介してきた。主人公である悟飯とトランクスが一度も勝利を収めることなく終わってしまうという、シリーズのなかでも異色の作品で、終始重く暗い展開が続いた。
しかし、そのエンディングではトランクスが、「HOPE!!(希望)」と書かれたタイムマシンに乗り過去へと旅立つ場面が用意されており、その後の展開を知る我々にとっても、この絶望的な物語にまさに希望を感じるラストとなっていた。