『仮面ライダークウガ』や『仮面ライダーオーズ』にも! ヒーローなのに怖かった…平成仮面ライダーで“主人公が活躍したのに不穏すぎた”エピソードの画像
『仮面ライダークウガ』Blu‐ray BOX第1巻(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))

 2000年の『仮面ライダークウガ』放送開始から、2019年の『仮面ライダージオウ』終了までの約20年を走り続けた『平成仮面ライダー』シリーズ。

 そのカッコよさで多くの子どもを魅了してきた平成仮面ライダーだが、彼らはときに悪の怪人以上に恐ろしい一面を見せることがしばしばあった。子どものころにそういったエピソードを見て、トラウマレベルの衝撃になってしまった人もいるのではないだろうか。

 今回は、『平成ライダー』シリーズのなかで、カッコいい主人公が活躍したのに恐怖と不穏さを感じずにはいられなかった名エピソードを紹介していこう。

■心優しい雄介が見せた“怒り”と“やるせなさ”『クウガ』35話の戦闘

 まずは平成仮面ライダーの伝説が始まった、2000年の作品『仮面ライダークウガ』からだ。

 クウガに変身する主人公・五代雄介は世界中を冒険する自由な男で、笑顔がトレードマークの好青年。人々を殺戮する怪人・“グロンギ”を相手に「みんなに笑顔でいてほしい」と果敢に立ち向かっていく強さや根幹にある優しさに、よく安心させられたものだ。

 第35話「愛憎」は、そんな雄介がグロンギへの怒りを露わにした回だ。自分の愉しみのために子どもを手にかけ続けるグロンギのゴ・ジャラジ・ダに、強い憎しみを抱く雄介。

 クライマックスでクウガに変身した雄介は、ジャラジをひたすら殴りまくる。馬乗りになり、ジャラジが真っ赤な血を流しても、ただただ殴り続けるのだ。その様はもはや正義のヒーローとしての戦いではなく、“暴力”としか言いようがなかった。

 そしてトドメはライジングタイタンソードで死に体のジャラジを何度も斬りつけ、倒れたところに追い打ちの一突き。勝利したクウガが呆然と立ち尽くす姿に胸が締め付けられたことを、よく覚えている。

 今思うと、あれは雄介の“やるせなさ”を表現していたのだろう。怒りのまま暴力を振るい、その結果敵を倒す。その虚しさに打ちのめされた雄介の姿は、勝ったはずなのにとても恐ろしく、哀しかった。

■最終フォームが新登場もまさかの暴走『オーズ/〇〇〇』プトティラ初登場の32話

 次は、2010年から2011年にかけて放送された『仮面ライダーオーズ/〇〇〇』から、主人公の仮面ライダーオーズこと火野映司が暴走した第32話「新グリードと空白と無敵のコンボ」を見てみよう。

 正体不明の“紫のコアメダル”を体内に取り込んだ映司は、強敵・プテラノドンヤミーとの戦いのなかでその力を覚醒させる。そうして変身した“プトティラ コンボ”は圧倒的な力でプテラノドンヤミーを撃破。しかしその後も止まらず、味方の仮面ライダーバースに襲いかかってしまう。

 かろうじて変身を解除した映司だが、胸を押さえて悶絶する始末……。せっかくの新フォームの登場なのにまるで敗北したかのような雰囲気で、とても複雑な気持ちになった人も多いだろう。

 このエピソードの恐ろしさは、プトティラの異質な存在感にある。映司の意思と関係なく紫のメダルが宙に浮かび、オーズドライバーを勝手に作動させる強制変身の流れからして不気味だ。そして戦闘でも映司はひと言もしゃべらず、どこかコミカルだったそれまでのオーズとは似ても似つかない。

 全身紫のメタリックな見た目も相成り、まるで冷徹なマシーンのようなプトティラは、カッコいいのに怖すぎる最終フォームだ。

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