『ドラゴンクエスト』シリーズの魅力の一つに、多くのプレイヤーを夢中にさせる強力なアイテムの存在がある。その中でも「めちゃ便利」と評され、プレイヤーにとってまさに救世主となる神アイテムたちがあった。
しかし、あまりに強力すぎるためか、次回作ではその姿が消えてしまったというケースも珍しくない。これらのアイテムは、時にはゲームバランスを揺るがすほどの影響力を持ち、まるで裏技のような存在感を放っていた。
今回は、そんな『ドラクエ』伝説のアイテムたちにスポットライトを当て、その魅力とともに、なぜ強すぎて姿を消してしまったのか、その背景に迫りたい。
■「ちょっとまった」が何回も使える「時の砂」
まずは、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』から『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』にかけて登場した、時を操る力を秘めたアイテム「時の砂」。ピンチにおちいってもバトルをやりなおすことができるという神アイテムだ。
『ドラクエ6』と『ドラクエ7』では、物語の重要な場面で登場し、イベントを進めるためのキーアイテムとしても活躍した。
その効果は驚異的で、戦闘中に使用することで、数ターン、もしくは戦闘開始時まで時間が巻き戻るという便利すぎる能力。たとえば、はぐれメタルを倒し損ねたときや、ボス戦で全滅寸前に追い込まれたときに、この「時の砂」を使って巻き戻し、一度逃したチャンスを取り戻すという手法も可能だ。
しかし、そんな「やり直し」ができる点が、ゲームバランスを崩しかねないほど強力だったためか、『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』以降のシリーズには登場していない。
プレイヤーにとっては頼もしいアイテムであったものの、惜しまれながらもシリーズから姿を消すこととなった。
■ザオリクのありがたみが薄れる「ふっかつのたま」
「ふっかつのたま」は、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』と『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』に登場するアイテムで、作品ごとにその効果が異なる。
『ドラクエ2』における「ふっかつのたま」は、プレイヤーがいつでも「復活の呪文(パスワード)」を聞けるという、当時としては非常に便利な機能を持っていた。スーパーファミコン版以降のリメイク作品では、この機能が「どこでもセーブ」に置き換わったが、さらにゲーム機の進化により「オートセーブ機能」などが標準搭載されるようになったため、結果として「ふっかつのたま」はその役割を終え、姿を消した。
『ドラクエ5』の「ふっかつのたま」は、所有者が死亡したときにHP満タンの状態で復活するというもの。『ファイナルファンタジー』シリーズでいう「リレイズ」の効果をもっており、持っていれば死亡時にHP満タンで回復する。
自動で復活できる効果は非常にありがたいが、その存在が「ザオリク」の存在意義を薄れさせてしまっていた。一応、消耗品なので効果を発揮すると消滅し、なおかつ入手個数が限られるアイテムという制限はあった。
しかし、効果が格別すぎたのか『ドラクエ5』以外では登場していない。