■ジャック範馬の母親・ジェーン
刃牙には世界中に兄弟がいるらしい。勇次郎は自分の遺伝子を「範馬の血」と呼び、世界各国に子どもがいることを示唆している。その中でも上位クラスの実力者が、ジャック・ハンマーだ。彼は「ジャック・ハンマー」として最大トーナメントに参加し、決勝で本当の名前が「ジャック範馬」であることを明かした。
その際、ジャックの母親であるジェーンの過去も描かれる。ジェーンは勇次郎が戦場で個人として戦闘行為をしていた時代に出会った女性だ。戦場で勇次郎とともに行動するようになり、やがて二人の間には愛が芽生えた……かに思われた。
しかし、実はジェーンは国連から送られた刺客であり(ジェーンは偽名で本名はダイアン・ニール)、戦場で暴れ回る勇次郎を殺すために近づいたのだった。勇次郎を罠にかけ、軍人たちのもとへと誘導する。だが勇次郎は何もかもを見抜いており、恐怖におののく彼女を襲うのだった。
そして戦後、勇次郎殺害の作戦に失敗したジェーンは服役することに。獄中で勇次郎の子どもを生むのだが、その子こそがジャックである。彼は強さを追求しめきめきと力を手に入れ、やがて最大トーナメントで異母弟の刃牙と対峙することになった。
ジェーンは作中で高い戦闘能力を披露しているだけでなく、あの勇次郎相手に怯まず懸命に作戦を遂行しようとするなど、精神的な強さも見せている。刃牙とジャックの戦いが繰り広げられた会場では、ジェーンらしき人物の姿も確認されているが、息子の敗北を前に彼女は一体どんな気持ちだったのだろうか……。
『刃牙』シリーズは、メインで活躍する男たちはもちろん、彼らにも負けない「強さ」を見せる女性たちも注目に値する。腕力ではなく強い信念で魅せる彼女たちの姿には、思わずぐっときてしまうだろう。
最新シリーズ『刃牙らへん』では、刃牙の周辺の人物たちの思いや強さが描かれている。今後のストーリーで、彼の周りにいる女性たちにスポットが当てられることにも期待したいものだ。