壮大な世界に感嘆の連続…令和の女子大生が初めて『銀河鉄道999』を読んでみたら「見事に刺さった」件の画像
銀河鉄道999 [Blu-ray](東映アニメーション・東映ビデオ)/(C)松本零士・東映アニメーション

 1977年に連載が開始された、松本零士さんの名作『銀河鉄道999』。昭和生まれの筆者世代にとっては言わずと知れた名高い作品だが、平成生まれの若者には知らない人もいるだろう。

 そこで今回、令和を生きる20歳の娘に『銀河鉄道999』を読んでもらった。毎日スマホを見ながら生活している20歳の女子大生の目に『銀河鉄道999』はどのように映るのだろうか? ここでは彼女の意外な感想を紹介したい。

■絵がキレイ! 鉄郎が可愛い! 令和女子にも見事に刺さる作品

 さっそく『銀河鉄道999』の1巻を読み終えた娘。そこでの感想は「絵がキレイ!」と一言。メーテルの美しさ、そして銀河鉄道999号を通して描かれる宇宙の絵に感嘆していた。

 「この作品は今から約半世紀も前に発表されたんでしょ? そのころは今みたいにデジタルソフトもなかっただろうから、絵のコマ1つずつ手書きってことだよね。信じられない、絵がうますぎる!!」と驚いていた。

 確かに、今から47年前は漫画を描くツールも少なかっただろうから、多くは手描きだっただろう。作者の松本さんは、画力もハンパないのだ。

 そして「鉄郎が可愛い!」という感想も。「初回から鉄郎のお母さんが死んじゃうのはショックだったけど……鉄郎は丸っこくて可愛い。美人なメーテルとの対比も良い。これがメーテル&美男子の旅だとなんか読む気なくなるけど、鉄郎との旅だから面白いのかもね」と、意見を述べていた。

 なるほど。確かに美男美女の旅だと単なる恋愛ストーリーにもなってしまいそうだが、本作はそうではない。ミステリアスな美女・メーテルは鉄郎の母親代わりでもあり、友人でもあり、恋愛対象でもあるのだ。この不思議かつ強い絆で結ばれた2人の旅だからこそ、物語は魅力的なのだろう。

■半世紀経つけど古臭さがない、作者のアイデアがすごい

 ちなみに娘が『銀河鉄道999』を最初に知ったきっかけは、合唱祭で聴いたゴダイゴの『銀河鉄道999』だったそう。アニメも漫画も知らなかった娘だが、この曲を聞いたときはカッコいいと印象に残ったという。アニメ界ではこれまでにも数々の名曲が生まれているが、『銀河鉄道999』も間違いなくアニメ界を代表する1曲であろう。

 話を戻そう。その後も「面白い」と、本作を一気に読み進めた娘。途中、もう一度感想を聞いてみると「半世紀も経つ作品なのに古臭さがない。正直、昭和の話なんてあまり興味ないと思ったけど、アイデアがすごい。今でも十分に通じる話だし、これを考えた作者さんは頭がいいんだなあ」と言った。

 なかでもメーテルが解説する「1日が10時間の星もあれば50時間の星もあるわ、自転の速度がちがうから…」という、各駅での停車時間についても感心していた。

 娘は「自転の速度という法則を思い出したわ。読みながら勉強になるね」「ほぼすべてのストーリーにおいて終わり方が切なく救いがない……でも、だからこそ次の星はどうなるんだろう? って興味が湧いて、次の話も読んじゃう」と言う。

 そう、本作は全体的に悲しい話が多いが、そのぶん人間味もある。ハッピーエンドでないからこそ味わいがあり、時代や老若男女を問わず楽しめる作品だと思う。

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