■自由な恋愛に驚いた『あずきちゃん』
また「衝撃」だったのは前述した2作品のようなファンタジーものばかりではない。原作・秋元康氏、作画・木村千歌氏による『あずきちゃん』もまた、驚きの展開が描かれた作品のひとつだろう。
1995年からNHKにてアニメ放送されていた同作は、アニメでは主人公の小学校時代のみが描かれるのに対し、漫画ではその後、つまり主人公らが中学生になる以降の物語が描かれた作品である。
ほんわかした絵柄で、主人公・あずきちゃんの淡い恋心やクラスメイトとの交流が描かれ、全編を通してほのぼのした内容だった。あずきちゃんはライバルの存在に悩んだりしつつも、大好きだった小笠原勇之助と結ばれることとなる。
その後も物語は続き、2人の相思相愛ぶりが見られるが、勇之助が家の都合でニューヨークに行くことに。アニメでは精神的に成長したあずきちゃんが彼を笑顔で見送るところで物語が終わるが、漫画では中学生になったあずきちゃんが、勇之助との関係を続けながらも、自分に好意を寄せる松岡竜一と出会い、2人の間で揺れ動く。
こう説明するとかなりマイルドではあるが、あずきちゃんは中学生にして実質「浮気」をしている。実際、コミックス4巻のあらすじ紹介では「二人(あずきちゃんと竜一)はアツアツのカップル」とも書かれている。さらに中学生のあずきちゃんは、竜一とキスもしており、彼のことが好きなライバルに対し、不安や嫉妬の気持ちも抱いている。
今になって冷静に考えるととんでもない展開で、中学生ながらに恋愛に奔放なあずきちゃんの姿には驚かされた。あずきちゃんが最後に選んだのははたして……? 結末はぜひコミックスで確認してほしい。
様々な意味で子ども向けとは思えない衝撃展開が描かれた『なかよし』の人気漫画たち。しかしどの作品も、今でも忘れられないほど面白かったのは間違いない。