『レイアース』に『セーラームーン』『あずきちゃん』でも…重すぎて少女向けじゃない!? 90年代『なかよし』人気連載作品で描かれた「超シリアス展開」の画像
画像は『なかよし』1993年1月号 (C)2008-2015 Kodansha Ltd. All Rights Reserved.

 刊行中の漫画雑誌としては1954年12月創刊と、日本で最も古い少女漫画誌である『なかよし』(講談社)。特に1990年代には、連載初期から人気があった漫画『美少女戦士セーラームーン』がアニメも含めて社会現象となり、1993年に発行部数が205万部を突破した。

 この頃の『なかよし』連載作品にはアニメ化されていた作品も多く、まさに少女たちの憧れの詰まった一冊だったのだ。

 しかし『なかよし』が子ども向けだと侮るなかれ。中にはアニメ化もされた有名作品なのに、子どもたちに見せるのがはばかられるような衝撃的な描写が描かれたものも多い。

■新アニメ化も発表『レイアース』で描かれた重すぎるシーン

 たとえば、2024年7月に新アニメ化プロジェクトが始動したことが発表された、CLAMPによる漫画『魔法騎士レイアース』がそうだろう。

『なかよし』1993年11月号から連載開始となった同作は、中学生の獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の3人が東京タワーでの社会科見学中に「謎の姫」の声に導かれ、異世界「セフィーロ」に召喚される物語。

 謎の姫の名前はエメロード姫。世界を魔物から救ってほしいという願いを聞き届けるため、3人は「魔法騎士(マジックナイト)」としてセフィーロを守るための旅に出るのだ。

 第一章の最後で、ついに光たちは世界を混沌に陥れた元凶のザガートを倒す。しかし状況は一変し、捕らえられていたエメロード姫が光たちに襲い掛かる。

 実はセフィーロの荒廃の原因は、世界の柱であるエメロード姫がザガートを愛してしまったことで世界の幸福を祈ることができなくなったことにあった。エメロード姫は柱として残る最後の思念で、唯一自分を殺せる存在である魔法騎士を外界から呼び、柱としての機能を失った自分自身を討ち取らせようとしていたのだ。

 自分たちの真の目的が、自分たちを呼んだ姫本人を殺すためであったことにショックを受ける光たち。苦渋の決断で死を望むエメロード姫の願いをかなえるという重すぎるシーンは、『なかよし』連載中の漫画の展開とは到底思えなかった。

 こちらは1994年10月からスタートしたテレビアニメでも同様の結末を迎えるが、アニメと原作では設定や展開が違う箇所がところどころあった。新アニメは、キャストや放送日などの情報が明かされていないが、どのような展開が描かれるのか、大人になった今ではかなり楽しみである。

■主要キャラが次々に退場していった『セーラームーン』の衝撃

 アニメ化される作品が多かった90年代の『なかよし』の中で、誰もが驚愕したのは、前述した『美少女戦士セーラームーン』のアニメ無印第45話「セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦」と最終話第46話「うさぎの想いは永遠に!新しき転生」だろう。

 同作は、漫画の連載開始から数か月遅れでテレビアニメがスタートしたメディアミックス作品。アニメでのセーラー戦士は最終盤で、悪の組織ダーク・キングダムの拠点である北極圏Dポイントで5人組の敵・D.D.ガールズと対峙する。

 幻影で翻弄してくる敵に対し、まずセーラージュピターが敵2人を道づれに命を落とした。続いてセーラーマーキュリーが仲間を先に行かせて一人残り、敵を足止めをする。彼女は、幻覚の源を突き止めるも炎で焼かれ、最後の力を振り絞って幻影を見せる敵の宝石を破壊し息絶えた。

 悲劇は終わらない。セーラーヴィーナスが地底に引きずり込まれ、1人の敵を倒して死亡。最後まで気丈に振る舞っていたセーラーマーズも、残る敵を全滅させて息絶えた。

 その後、タキシード仮面も死に、セーラームーンが一人でラスボスに立ち向かうこととなる。4戦士たちは幻影として登場し、セーラームーンを手助けするが、最後は、セーラームーン自身も使用者のエネルギーを全て奪う幻の銀水晶の力を使ったことで死んでしまう。

 最終話ではこのあと、うさぎたちは銀水晶の力で転生。そして、お互いの記憶のないまま普段どおりの生活をするという終わり方を迎える。すぐに続編の『R』が始まるとはいえ、全員死亡という展開は当時の子どもたちを恐怖のどん底に陥れた。多くの子どもたちが急なシリアス展開に驚いたはずだ。

 なお上記はテレビアニメのみの展開で、漫画版ではセーラー戦士たちは死ぬことはない。メディアミックス作品ならではの、違う物語が楽しめる稀有な作品のひとつだろう。

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