■空飛ぶ猫のインパクトがすごい「フライング・クロ」
最後はこれぞ“松本零士の世界”とも言えるような奇抜な星を紹介したい。
「クイマ」という食べ物が豊富な星に降り立った鉄郎とメーテル。そこで鉄郎は、空を飛ぶフライング・クロという野良猫の親子に出会う。その後、鉄郎たちは空飛ぶアンドロイド猫のキャッツロイドと、それを操るネコアという女性に出会った。
ネコアは多数のキャッツロイドを空に飛ばし政府への反乱を企てる。しかし動物の頭脳を持った優しいキャッツロイドは親子で寄り添うフライング・クロを見て引き返し、政府によって一網打尽にされてしまう。
またクロも政府によって攻撃され、子どもたちを守って負傷してしまう。そしてクロは子どもたちを引き連れ、星を出るため空高く舞い上がっていくのであった。
「フライング・クロ」は全体的に悲しいストーリーではあるが、無数の猫が空を埋めつくす描写は圧巻だ。地球に住む私たちは“猫は空を飛べない動物”と認識しているが、実は宇宙のなかには空を飛ぶ猫や犬が存在する星もあるかもしれない。本エピソードはそのような想像力を掻き立ててくれる物語であった。
今回紹介した3つのストーリーは、大きな好奇心が自滅へと導いた星や、肥満化した人間が家も破壊する話、空を埋め尽くすほどの空飛ぶ猫が登場する話など本当に奇想天外だ。これらのアイデアを生み出した松本零士さんは、まさに漫画界の天才と言えるだろう。
本作にはこのほかにもビックリするような驚きの星がたくさん登場する。松本さんの才能を振り返りたい人はもちろん、たまには奇想天外な世界を覗いてみたい人にも『銀河鉄道999』はおススメだ。