「ある意味、最強かも…!?」 『ワンピース』クリケットにガイモンも…地味でも偉業を成し遂げた「メンタル強すぎキャラ」の画像
ONE PIECE シックススシーズン 空島・スカイピア篇 piece.2 [DVD]

 尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』(集英社)は、世界発行部数が5億部を超える大人気漫画だ。27年という長期連載の中で数多くの魅力的なキャラが登場し、物語を盛り上げている。

 キャラの特徴はさまざまだが、数話しか登場しなくてもかなり印象に残ってしまう者も多い。中でもインパクトがあったのが、あまり目立たないものの、並外れて強い精神力を持っていたがために、とんでもないことを成し遂げてしまったキャラである。

 そこで今回は、そんな持ち前の辛抱強さで(ある意味)「偉業」を成し遂げたキャラを振り返っていきたい。

■金塊探し10年!モンブラン・クリケット

 まずはモンブラン・クリケットから紹介したい。クリケットはルフィたちが空島へ向かうための重要なキャラで、ベラミー海賊団との一戦のきっかけにもなっている。

 クリケットは「うそつきノーランド」と呼ばれた探険家モンブラン・ノーランドの子孫である。ノーランドはかつて黄金郷にたどり着いたのだが、後に王様や兵士とともに向かったその地が何もないジャングルだったため、「うそつき」の汚名を着せられてしまったのだ。クリケットは、そんな人物の血を引いているせいで幼い頃にいじめられており、諸悪の根源であるノーランドを恨んでいた。

 しかし、やがて海賊になったクリケットは、ノーランドが黄金を見つけたというジャヤに偶然にもたどり着く。それに何か運命めいたものを感じ、すべてを白黒はっきりさせるため、何度も海に潜り続けることになったのだ。ノーランドの最期の言葉が、「山のような黄金は海にしずんだんだ!!!」だとされているからである。

 そして、10年かけて鐘型のインゴット3個とサウスバードを象った像が一つ発見される。これは黄金郷があった証明になるといえばなるが、確証というほどではない。クリケット自身が「10年潜ってこれだけじゃ割に合わんが…」と話すように、代償のほうが大きかった。というのも、彼は長きに渡る素潜りによって重い潜水病になり、突然けいれんを起こして倒れてしまうようになったからだ。

 だが、体がぶっ壊れても探し続けるクリケットの信念は凄まじい。そんなまっすぐすぎる気持ちがあるからこそ、マシラやショウジョウも彼にずっとついてきたのだろう。

 それにしても、真実を明らかにし、先祖と「決着」をつけるためだけに、10年もの時間を費やしてきたクリケットには驚きだ。彼が口にした「バカげた理屈だと人は笑うだろうが 結構じゃねェか!! それでこそ!! “ロマン”だ!!!!」という言葉にも、その生き様があらわれていた。

■宝箱にハマって20年も抜けない?ガイモン

 次は作中でもなかなかに悲惨だと思われるキャラのガイモンだ。ガイモンは20年前、珍獣の住む島に仲間と上陸して財宝探しをしていた。そんな中、大岩の上にたくさんの宝箱があるのを発見して中身を確認しようとし、足をすべらせて落下。その際、空の宝箱にはまって気絶したうえ、仲間にも置いていかれてしまう。

 それから20年もの間、ガイモンはその島で財宝を守る番人として暮らし続けてきた。宝箱にはまったまま抜け出せなくなったので、箱と同化した形での無人島生活である。ただでさえ無人島生活は厳しいのに、難度がさらに上がった感じだ……。

 それでもルフィたちがこの島にやってくるまでの間、ガイモンはちゃんと生き残っていたので、しぶとさは尋常ではない。そして、ガイモンが発見して守り続けた宝箱の中身は何か? というところも気になったはず。それが彼の生きる意味でもあったからだ。

 しかし、大岩にのぼれないガイモンに代わってルフィが箱の中身を確認したところ、中身はなんと空。ルフィはそれを知らせるまいと、箱を渡すよう言われると「いやだ」といってごまかそうとする。そんな彼の気遣いを察したガイモンは、「ないんだろう 中身が…」と涙をこぼす。彼自身、うすうす察していたというが、20年という歳月が無駄になったかのように思えて泣けてしまう……。

 それからルフィに仲間にならないかと誘われたが、ガイモンは島でそのまま暮らすことを選択する。島にいる珍獣たちに愛着がわいていたため、今さら彼らを置いてはいけないと考えたのだ。

 ガイモンほど孤独の恐怖と戦ったキャラもそういないだろう。それでもなお島にとどまる決意ができるところがスゴい。

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