2024年7月に連載開始から27周年を迎え、物語最終章が進行中の尾田栄一郎氏の漫画『ONE PIECE』。撒かれた種から芽が出るかのように、これまでの謎が次々と明らかになる怒涛の展開を見せている。
悪魔の実同士の戦いも激化するなか、現在の戦いの中で注目されているのが「覇気」だ。悪魔の実の覚醒も気になるところだが、それ以上に覇気による戦闘の進化が目覚ましく、中でも「覇王色の覇気」についてはまだまだ明かされていない部分が多い。
そこで本稿では、覇気の中で稀有な存在でありながら、多様な使い方ができる覇王色の覇気の凄さを探っていきたい。
※以下には漫画『ONE PIECE』の最新エピソードについて触れる箇所があります。
■選ばれし者しか使えない「使用できる人がすごい覇王色」
そもそも覇気とは、全ての人間に潜在する「意志の力」をいう。気配や闘争心などの感情や感覚をコントロールすることで、自身を強化する力を引き出すものだ。第516話にて、モンキー・D・ルフィに修行をつけていた元ロジャー海賊団No.2のシルバーズ・レイリーは、覇気は「見聞色・武装色・覇王色」の3つの色に分かれており、人によって得意な色があると語っている。
「見聞色」はおもに気配を感じ取る力から成る覇気で、視認できない人物や少し先の未来をも感じ取ることができ、「武装色」は身を固め防御力を高めるだけでなく、打撃や斬撃が効かない能力者への攻撃を可能にする力を持っている。
この2つの覇気を使いこなすだけでも能力者以上の強さを得られるが、覇王色の覇気が持つポテンシャルはそれらを凌駕するほどに凄まじいのだ。
「覇王色」は数百万人に1人が持つと言われている覇気であり、「王の資質を持つ証」とも言われている。
実際に、ワノ国編でロロノア・ゾロが覇王色を発現した際に、百獣の海賊団幹部・キングが「『王』にでもなる気か?」と尋ねる場面があった。このことからも覇王色の覇気は希少かつ、「国」を統べるほど強大な力であるのが伺えるだろう。
また、1000人以上いる登場人物の中でも、覇王色の覇気を扱えるのは十数名しかおらず、実力者だから使えるというわけでもない。作中最強クラスである、海軍大将の黄猿や青キジらも、現段階では覇王色の覇気を使った場面はない。
■「効果がとんでもない」実際の使用シーン
赤黒いエフェクトで描かれる覇王色の覇気は、コミックス109巻時点でおもに2つの使い方が明らかになっている。一つは無差別、または狙ったものに圧倒的なプレッシャーを与え気絶させる、覇気を放出する使い方。もう一つは武器や拳にまとわせる使い方だ。
覇王色の覇気の放出は、魚人島での麦わらの一味VSホーディ・ジョーンズ率いる新魚人海賊団のシーンがわかりやすい。10万人という大軍勢を前に、ルフィが放った覇王色の覇気は、半分の5万人を気絶させるに至った。2年間におよぶ修行の成果を全力で発揮したあの場面は、非常に印象強く残っている。
続いては武器や拳にまとわせる使い方だ。966話「ロジャーと白ひげ」にて、ゴール・D・ロジャーと白ひげことエドワード・ニューゲートが剣を交えるシーン。ここでは大地がめくれ上がるほどの強い衝撃が生まれるが、お互いの剣は触れておらず、剣にまとわせた覇王色の覇気が衝突したように描かれた。
また、434話「白ひげと赤髪」では、白ひげとシャンクスが剣を交えた際に、その衝撃で分厚い雲が大きく裂けている。このとき2人の武器に覇王色の覇気を纏ったような描写はないが、尋常ではない破壊力は覇王色の覇気によるものかもしれない。