ザクII2機を立て続けに撃破するという、初陣でも圧倒的なインパクトを残したアムロ・レイ。そのアムロ以外にも、『ガンダム』シリーズには、これまでさまざまな主人公たちが登場してきたが、彼らの初陣はどんなものだったのだろう。
そこで今回は、ファーストガンダムと同じ時間軸「宇宙世紀」の作品の主人公、『機動戦士Zガンダム』カミーユ・ビダン、『機動戦士ガンダムZZ』ジュドー・アーシタ、『機動戦士ガンダムF91』シーブック・アノー、それぞれ初陣を振り返っていこう。
■生身の人間を目掛けてバルカン砲を発射!『機動戦士Zガンダム』カミーユ・ビダン
“史上最高のニュータイプ”と称されている『機動戦士Zガンダム』の主人公、カミーユ・ビダンだが、初陣から規格外の少年だった。
サイド7、グリーン・ノア1の学生として登場したカミーユは、コロニーにいながら超感覚で外の宇宙を見るなど初登場からニュータイプの片鱗を見せる。
作戦のためサイド7近くまで来ていたクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)もカミーユに共鳴し、「この感触…アムロ・レイ? ララァ・スンか…」と呟くなど、彼らに匹敵する逸材であることを感じさせた。
その一方、気に障ることがあれば相手が軍人だろうと構わず殴りかかるという精神的未熟さも見せており、そのせいでMPによって拘束されてしまう。クワトロ侵入の混乱に乗じて逃亡したカミーユは「こんなことしちゃって…俺 どうするんだ」と漏らしており、自身の感情のコントロールができていないようであった。
さらに逃走の勢いで連邦施設に潜入、ガンダムMk-IIに乗り込み、いとも簡単に操縦してみせる。連邦軍の技術士官である父のコンピュータからデータを盗んでいたのが役に立ったと言っていたが、それでも十分すごい。その様子を間近で見ていたブライト・ノアも「アムロの再来だ」と驚いていた。
さあ、いよいよ初陣……と言いたいところだが、まずカミーユがやったことは復讐だった。自分を拘束した憲兵を見つけると、ガンダムで彼の前に立ちふさがり「そこのMP! 一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか?」と、バルカン砲を発射して「ハハハハハ…ざまぁないぜ!」と高笑い。前代未聞の主人公だ。
そしてエゥーゴの味方であることを示すため、もう一機のガンダムMk-IIに突進し抑え込む。そして、パイロットをコックピットから降ろさせると、自身の乗るガンダムを合わせ2機のガンダムを手土産に、クワトロとともにエゥーゴに向かった。
アムロは初陣でガンダムに乗り、侵入し襲ってきたザクIIを撃退してみせた。しかしそれとは対照的に、カミーユはガンダムに乗り、侵入したリック・ディアスとともに逃走する。まさに新時代を感じさせる主人公だった。
■初陣の相手は歴戦の猛者、しかしその機体は…『機動戦士ガンダムZZ』ジュドー・アーシタ
『機動戦士ガンダムZZ』の主人公、ジュドー・アーシタ。彼の初陣もなかなか印象的なものだった。
前作『機動戦士Zガンダム』の直後からはじまる『機動戦士ガンダムZZ』。先の戦闘で傷ついた船体の修理、並びにカミーユの治療のためにサイド1・1バンチ=シャングリラに寄港したアーガマ。そのシャングリラで、仲間たちとともにジャンク屋として生きていたのが本作の主人公・ジュドーであった。
拾った脱出ポッドに乗っていたヤザンにそそのかされ、Zガンダム強奪に協力することになったジュドーたち。このときジュドーは、潜入した施設でたまたま病院へ搬送中だったカミーユと出会い、彼に接触したことで何かに目覚める。
そして、ジュドーはなんとかZガンダムを手に入れたものの、ヤザンの人を殺すこともいとわない行動に反感を抱き、途中仲たがいしてしまう。プチ・モビルスーツに乗って逃げるヤザンを追い、ぎこちないながらもZガンダムを操縦しコロニー内部へ。追われるヤザンもこのときのジュドーの操縦に対して「初めてにしてはよく動かしている」と評価していた。
ヤザンと言えばオールドタイプながら、それまでニュータイプたちと渡り合ってきた猛者だ。相手がZガンダムと言えど、パイロットが素人なら十分勝てると判断したのだろう。ミドル・モビルスーツに乗り変えると、ビーム・サーベルを拾って襲いかかってきた。
防戦一方のジュドーだったが「こいつはガンダムなんだ Zガンダムならなんとかしろ!」と、腕部のグレネード・ランチャーを発射。初陣でヤザンの乗るミドル・モビルスーツを撃墜したのだった。
『ガンダム』シリーズでは珍しく明るい性格の主人公、ジュドーらしいドタバタ劇のような初陣であった。