尾田栄一郎さんの人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』の作中では、ルフィたち麦わらの一味が行く先々で、さまざまな事件が起こっている。というよりも、騒動を起こす当事者として、ルフィの名は世間に知れ渡っているようだ。
しかし、なかには彼が関与していない大事件も存在する。その代表格が「ゴッドバレー」「ロッキーポート」と呼ばれるふたつの事件で、どちらも全貌がいまだに明らかにされていない。
その両事件の裏側には、かつて世界最強の名をほしいままにした海賊団の存在があり、これを偶然と片づけるのは少々無理がありそうだ。
そこで今回は、世界を揺るがした「ゴッドバレー事件」と「ロッキーポート事件」における「奇妙な共通点」についてひもといていこう。
■ロックス、ロジャー、そして海軍が激突!
作中の時間軸から38年前、世界政府非加盟国の島ゴッドバレーにて、ひとつの巨大な事件が発生する。それは「ゴッドバレー事件」と呼ばれ、島を舞台にした一大事件だ。
このゴッドバレーという島には豊富な資源が眠っており、それに目をつけたのが天竜人だ。そのため3年に一度開かれる「先住民一掃大会」の開催地に選ばれ、島民をターゲットにした非人道的な“人間狩り”が行われた。
そこに突如現れたのが、当時“世界最強の海賊団”と呼ばれた「ロックス海賊団」である。どうやらロックス海賊団の本拠地「ハチノス」から天竜人が奪った“宝”を奪還する目的だったようだ。
同海賊団には、船長のロックス・D・ジーベックを筆頭に、白ひげ、ビッグ・マム、カイドウ、金獅子のシキ、キャプテン・ジョン、銀斧、王直といった伝説的な海賊がそろっていた。
さらに、のちの“海賊王”ゴール・D・ロジャー率いる「ロジャー海賊団」、海軍のガープまで参戦。そのロジャー海賊団とガープが手を組み、ロックス海賊団が壊滅するという結末を迎える。
そんな豪華顔ぶれがそろった「ゴッドバレー」は、現在の地図上から抹消されており、島自体が跡形もなく消滅しているという。この島でどのような戦いが繰り広げられ、なぜ島が丸ごと消滅することになったのか、「ゴッドバレー事件」はいまだ多くの謎に包まれている。
■元ロックス海賊団メンバーが倒された?
麦わらの一味が新世界で通用する力を身につけるため2年間の修行を続けていた頃、世界では大きな事件が発生する。それが「ロッキーポート事件」だ。
この事件の首謀者は、ルフィと同じ“最悪の世代”のひとり、トラファルガー・ローとされている。この事件で奪った海賊の心臓100個を海軍本部に届け、彼は「王下七武海」に名を連ねた。
それからしばらく、同事件に関する情報は出てこなかったが、1059話になって関係者のひとりである“黒ひげ”ことマーシャル・D・ティーチによって語られた。
黒ひげは、この事件に関与した海軍のコビーに対し、「ロッキーポート事件じゃ世話になったな」「お前のお陰でおれァ“王直”を倒し、海賊島のボスになれた」と発言。
コビーはロッキーポート事件をきっかけに海軍の英雄と呼ばれるようになっていた。
このとき黒ひげの言った海賊島とは「ハチノス」のことで、ここはロックス海賊団が結成された地でもある。ロックス・D・ジーベック亡きあとは、元ロックス海賊団の実力者“王直”が支配していたようだ。
そしてロッキーポートとは、おそらくハチノスの付近にある港施設だと思われる。その名は船長ロックスの愛称が由来にも見え、もしかすると「ロックスの港」という意味があるのかもしれない。
黒ひげが同事件に関わった理由は不明だが、彼の海賊船の名前は「サーベル・オブ・ジーベック号」という。直訳すれば「ジーベックの剣」だ。ロックス・D・ジーベックと、何のゆかりもないとは考えづらい。
そもそもトラファルガー・ローがロッキーポート事件の首謀者であること、黒ひげが王直を狙いハチノスのボスになった経緯など、「なぜそうなった?」と感じる疑問点は尽きない。
しかし、いまだ謎の多い「ゴッドバレー事件」と「ロッキーポート事件」の両方に、ロックス海賊団の影があったのは事実だ。かつて世界最強と呼ばれた海賊団が関与し、海軍の師弟関係にある「ガープ」と「コビー」が“英雄”となった両事件。そこには意図的とも思える共通点がいくつもある。
そして、これらの事件は、今後どのようなかたちで本編に関わってくるのだろうか。最終章に突入した物語の行方と併せて、ふたつの事件の詳細が明かされるのを心待ちにしたい。