漫画やアニメの悪役には、我こそが最強ということを疑わない唯我独尊キャラがいる。それほど絶対的な自信を持つのは、自分以外の存在があまりにも弱いからだと思う。しかし、圧倒的な力があるから当然かもしれないが、中には調子に乗りすぎている者も……。
そんな悪役が窮地に立たされた時、果たしてどのような態度を取るのか? というと、意外と潔くないキャラもいる。他人の命はどうでもいいけど、自分だけは死にたくない! という気持ちが強く、かなり無様な姿を晒すケースもあるのだ。
そこで今回は、圧倒的な悪役キャラが無様に命乞いをしたシーンを紹介したい。
■あまりにもしぶとすぎ…『ジョジョの奇妙な冒険』ディオ
まずは、荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)のディオから紹介していこう。
ディオといえば、『ジョジョ』シリーズに欠かせない因縁キャラである。初登場時の俺様感は圧巻で、ジョナサン・ジョースターをかなり見下していた。そして、周囲の人間も自分より劣っているから従って当たり前……そんな気持ちを持っていた。
その後「おれは人間をやめるぞ!」と吸血鬼になり、人間を超越した力を持つと俺様感に拍車がかかる。これまで以上に多くの手下を従えるようになり、誰も自分に勝てはしないと確信したからだ。しかし、それを許さなかったのが彼のライバルであるジョナサンである。
ジョナサンは波紋を使ってディオを追い詰め、肉体を破壊。並の吸血鬼ならそこで終わりかもしれないがディオは違う。首だけでも生き残り、ジョナサンを再び追い詰めることに……。これだけでディオの執念の凄さが伝わってきた。
それでもジョナサンが命を懸けたことで、ディオは死を免れない状況となった。すると、なんとディオは「おまえにも永遠をやろうではないか!その傷もなおす…」と命乞いをし始めたのだ。
プライドが高く、人間を餌としか見ていないディオだが、生への執着心は人一倍強い。屋敷が火事になった時も、波紋で肉体を破壊された時も見事に生き延びていた。しかも結局はジョナサンの肉体を乗っ取り、第3部で再登場を果たしているからしぶとすぎだ!
■みじめすぎる最期が印象的…『DEATH NOTE』夜神月
次は、原作:大場つぐみさん、作画:小畑健さんによる『DEATH NOTE』(集英社)の夜神月である。
月は、デスノートを拾ったのをきっかけに新世界の神になると決意した。自らが犯罪者を裁くことで、「正しい世界」を作ろうとしたのだ。
名前さえ書けばそれだけで人の命を簡単に奪える……。そんな便利アイテムであるデスノートは、月の他人に対する考え方をどんどん変えていく。自分は神だから、それを妨げる人間は殺しても構わない。そんな考えに基づき、犯罪者だろうとそうでなかろうと邪魔な人間を簡単に殺すようになっていくのだ。
しかし、Lの後継者であるニアによって自身の正体を明かされると、月はまさかの悪あがきに出る。隠し持ったデスノートに名前を書き込もうとして、それに失敗すると今度は死神のリュークに全員を殺すよう懇願したのだ。
これにはリュークも呆れてしまい、月の名前をデスノートに書き込んだ。月はこれを受け、「死にたくないふざけるな、止めろ死にたくない」と叫び、かなり無様な姿を晒した。
それでも、あそこまでやりきってくれたからこそ、このシーンは逆に強く印象に残っている。あっさりと罪を認めて降参するより、こういうパターンもアリ?と思ってしまった。