■決して止まることのない無秩序極まりない存在…『ヒメアノ〜ル』森田剛
サスペンス作品にはさまざまな理由から人を殺める“殺人鬼”が登場しているが、昨今では通常の人間とは異なった心理状態から犯行に手を染める“猟奇的な存在”としてのキャラクターも多い。
2008年より『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載された古谷実さんの『ヒメアノ〜ル』にも、当たり前のように人を殺める連続殺人犯が登場している。
平凡に生きる主人公が、ひょんなことから平和な日々を破壊されていく本作。2016年に公開された実写版映画では、濱田岳さんやムロツヨシさんなど豪華キャストが集結するなか、メインキャラである猟奇的な犯人・森田正一(以下、正一)を森田剛さんが演じた。
本作が映画初主演となる森田さんだが、普段の爽やかでイケメンな姿から一変、己の私利私欲のために躊躇なく人を殺していく殺人鬼になりきっていた。
見た目こそ平凡だが、目的のためならば躊躇することなく他人に暴力を働く危険極まりない正一。常人離れした感性を持つなんとも難しい役柄だったが、森田さんはその卓越した演技力によってキャラクターが持つ独特の二面性を見事に演じている。
作中で数々の凶行に手を染める正一だが、その相手は男性だけにとどまらない。ときには女性を容赦なく黙々と殴打し続けるなど、この殺人犯がいかに欠如した“心”の持ち主なのかを、なんともえげつない演技で見せつけていた。
一度見たら忘れられない恐ろしい描写の数々……ぜひその目で確かめてみてほしい。
謎を解き明かすことで真実を解明していくサスペンス作品だが、実写版作品では数々の有名俳優たちが個性的なキャラクターたちを演じている。彼らが見せた“怪演”の数々は、観た者の心に強烈な“トラウマ”となってその姿を焼き付けることだろう。