“デービーバックファイト編”や“ワノ国編”でも…『ONE PIECE』ゾロとサンジが見せた「胸アツ展開」の画像
『ONE PIECE』20THシーズン ワノ国編 piece.12 DVD(エイベックス・ピクチャーズ)

 無数のキャラクターが登場する『ONE PIECE』(尾田栄一郎氏)のなかで、“麦わらの一味”の両翼とも評されるゾロとサンジ。武士道と騎士道と、まったく別の道を行く2人はどうにもソリが合わず、口を開けば喧嘩という“犬猿の仲”であることは周知の事実だろう。

 そんな2人が一味の共通の敵に対して時に協力し、競い合うように戦うシーンや、2人の間だけで交わされる真剣な会話のシーンなどは、ファン垂涎の胸アツ展開にもなっている。

 今回は、そんなゾロとサンジが稀に見せる胸アツな展開について紹介しようと思う。

■一瞬で形勢をひっくり返す10秒間の共闘

 まずは、「デービーバックファイト編」で描かれた2人の共闘シーンを紹介したい。

 空島から青海に帰還した“麦わらの一味”が、“フォクシー海賊団”に挑まれ受けることとなったデービーバックファイト。敗北したら仲間か海賊旗を失うというこの戦いの一回戦でまさかの敗北を喫した“麦わらの一味”は、船医のチョッパーを奪われてしまう。

 チョッパーを取り戻すためゾロとサンジが挑んだ二回戦「グロッキーリング」は、“球役”である人間をバスケのように先にゴールに叩きこんだほうが勝ちというシンプルなルールだった。

 チョッパー不在のため2対3という人数差を強いられたうえ、アンフェアな審判や巨人と魚人のハーフである“球役”のビックパンを含む敵側の見事なコンビネーションによって、ゾロとサンジはまさにグロッキー状態となってフィールドに横たわってしまう。

 ここで、ゾロの「10秒手ェかせ」という言葉に対してサンジは「妥当な時間だな」と答え、2人の間で静かに共闘の誓いが結ばれるのだ。 

 そして、ゾロとサンジは“モンスターバーガー”という凶器をフルに使った敵の陣形を逆手に取り、同士討ちをさせる形で審判もろとも全員を戦闘不能にした。さらに、立ったまま気絶しているビックパンに向けて、サンジが「アルメ・ド・レール パワーシュート」でゾロを弾丸のように撃ち出すと、ビックパンの上あごを掴んだゾロがその怪力をもって見事にゴールに叩きこむのである。

 まさに10秒足らずのこの共闘には、“麦わらの一味”と共に歓喜した読者も多いことだろう。また、サンジがゾロを撃ち出したあとに勝利を確信し、振り返ることなく悠然とフィールドを去る様子なども含めて、すべてが胸アツの展開であった。

■読者が再会を待ちわびた2人の立て役者

 物語が「新世界編」に突入すると、離散した“麦わらの一味”が再会するシーンが何度か描かれているが、なかでもゾロとサンジの再会シーンには毎回胸が高まってしまう。たとえば、一味が2年間の修業を経てシャボンディ諸島に再結集した時だ。

 再会して早々喧嘩を始めるシーンや、同時に攻撃したパシフィスタをどちらが仕留めたかで揉めるシーンなど、2人のやり取りを見られるのは現実においても2年ぶりであったため、当時、リアルタイムで追いかけていた読者の興奮は形容し難いものだった。

 その後、2人は「ドレスローザ編」で別行動を取ることになるのだが、「ワノ国編」で再会するまで、現実時間ではおよそ6年間もシーンを共にすることがなかったのである。そんな2人の再会シーンは、えびす町の人気者であるトの康の処刑場にて描かれた。

 打倒カイドウの作戦が敵へ漏れ出ぬよう自らの命を差し出し、オロチの凶弾に倒れたトの康。その様子を処刑場付近でそれぞれ見ていたゾロとサンジは、トの康の死に対して人造悪魔の実“SMILE”を食べたことで笑うことしかできなくなった町民たちの悲しき事実に絶句し、怒りを募らせる。

 さらに、トの康に寄り添う娘のおトコに対してもオロチが発砲すると、突如処刑場の柵が激しく崩れ、辺りが砂煙に包まれるのだ。「べべん!!」という効果音と共に砂煙が晴れると、そこにはおトコを守るゾロとサンジの姿があったのである。

 読者が待ち望んだ2人の再会シーン。「あァ!?」と怪訝そうに互いを睨む2人の様子は、思わず「待ってました!!」と叫びたくなるほどであった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3