■禁じ手を使い天に昇って死亡!のはずが…
4回目は、もう誰もがドラゴン紫龍は死んだ……と思ったシーンだ。
同じく「黄金聖闘士編」で山羊座のシュラと戦うことになった紫龍。昇龍覇が通じないシュラを相手に、紫龍は禁じられた大技である“廬山亢龍覇”を放つ。この技は敵もろとも宇宙へと高速で飛び上がり、自分も含めた肉体を消滅させる禁じ手だ。龍のごとく天へ上る紫龍を見て、涙を流す星矢や仲間たち、そして春麗や老師も泣きながら紫龍との別れを思った。
しかし、宇宙へ上昇している際、アテナのために全身全霊をかける紫龍に対しシュラが改心。自分が身に着けていた山羊座の聖衣を紫龍に着せて地上へ吹き飛ばし、紫龍だけは地上に戻ってこられたのである。
紫龍が亢龍覇を打ったあとは数ページに渡って紫龍の追悼シーンのようなものが描かれており、これを見た読者は今度こそ紫龍が死んだのでは!?と思っただろう。しかしただでは死なない男、最後は敵から守られる形で見事地上へ降り立ったのである。
■生き返ったのにまさかの「もう一度死んでくれ」
最後の紫龍が生き返った場面は、上記“亢龍覇”を投じた戦いのあとである。
その後、教皇と戦う星矢を救いに駆けつけるフェニックス一輝。その際、シュラによって一命を取り留めた黄金聖衣をまとった紫龍が落ちてくるのだ。
一命を取り留めたとはいえ、瀕死の重体である紫龍。その場で一輝が手当をすれば命は助かるものの、一輝は「だが紫龍 もう一度 死んでくれるか…」と言い、紫龍の手当より先に星矢を救う決断をするのであった。
紫龍は、「オレも必ずあとからゆく…か…必ず…」という言葉を残して倒れてしまう。また氷河や瞬、星矢や一輝も戦いの末に倒れ、黄金聖闘士編は青銅聖闘士全員が死んだかに見えて幕を閉じるのであった。
だが、しかし。十二宮で倒れた青銅聖闘士は、その後昏睡状態のまま治療を受けていた。そして海王ポセイドンの出現で、沙織のピンチを感じた紫龍たちは完全復活を果たすのである。ここまでくると紫龍はもう不老不死のような存在だが、ピンチのときに必ず蘇ってくれるのは頼もしい限りであろう。
このようにドラゴン紫龍は、死にそうな場面に陥っても決して死なない復活を遂げる男である。しかも死にかけるシーンはほぼすべて星矢をはじめとした仲間のピンチを救う場面であり、これほど友情に命を懸ける男は漫画界のなかでもなかなかお目にかかれないだろう。
『聖闘士星矢』のなかでももっとも熱くて頼りになる男、それがドラゴン紫龍なのである。