■ルフィ敗北?強すぎるカイドウ!

 四皇カイドウ率いる百獣海賊団との戦いを描く「ワノ国編」。ルフィたちはワノ国の英雄的存在「光月おでん」の意思を受け継ぐ「赤鞘九人男」たちとともに、百獣海賊団の宴の席に奇襲をかけ、全面戦争が始まるのだった。

 カイドウと一騎打ちになったルフィは、ワノ国で修得した「流桜」を使い、善戦していた。またカイドウとの戦いの中で、さらに上のステージへと進んでいく。

 それは覇王色の覇気をまとい、カイドウにも通用する「触れない攻撃」が可能になるということだった。この飛躍的な成長には、ついに快進撃が始まると期待させられたものだった。

 しかし、100巻1013話「Anarchy In The BM(アナーキー イン ザ ビッグ・マム)」の最後のシーンで絶望的な状況を突きつけられる。描かれたのは、鬼ヶ島から落ちていくルフィの姿だったのだ。白目を剥き、力なく落下していくルフィ。「久しぶりに熱くなって…おれはしくじった…」とカイドウはつぶやいていた。彼はルフィの仲間が彼の勝利を信じ続けないよう、その首を切って「勝利宣言」をすべきだったと後悔していたのだ。

 覇王色の覇気を纏った直後のルフィが一瞬で打ち負かされるこのシーンは、恐怖を感じるほど絶望的だった。ルフィが勝てる未来が見えないとまで思ってしまった、「ワノ国編」屈指の絶望シーンである。

 

 強力な敵キャラたちは、時に絶望的ともいえる強さを見せてルフィたちを追い詰めていく。麦わらの一味がそんな絶望的な状況を打開し、世界を騒がせる海賊団になっていく姿に魅了された人も多いだろう。

 クスッとできる小ネタから思わず涙してしまう感動エピソード、胸を熱くする冒険など、さまざまな魅力を持つ『ONE PIECE』。そんな中で時折登場する絶望的なシーンは、必ずしも悪いだけのものではない。どうしようもない状況に追い込まれてなお負けないルフィたちの姿に、勇気をもらえるからだ。

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