全世界累計発行部数が5億部を突破し、海外で制作された実写ドラマも話題になった『ONE PIECE』。海賊・麦わらのルフィの大冒険の数々は、数多くの読者を魅了してきた。
ルフィたちは胸が躍る冒険をする一方で、危機的状況に追い込まれることも少なくない。中でも強力な力を持つ敵キャラたちは、多くの絶望的なシーンを生み出してきた。そこで今回は、『ONE PIECE』に登場する敵の圧倒的な強さに絶望を感じたシーンを紹介しよう。
■トラウマ級の衝撃!エネルの蘇生
遥か上空に存在する島での冒険を描いた「空島編」には、いまだに語り継がれているほどの恐怖シーンがある。そのシーンは29巻275話「神曲(ディビーナコメイディア)」に出てくるものだ。
ロビンを新たな仲間に加え、ついに空に浮かぶ島に到達した麦わらの一味。そこは、神を名乗る男「神(ゴッド)・エネル」が恐怖で支配する国・スカイピアだった。
麦わらの一味はこの地に眠るという黄金をめぐって、エネル率いる神隊、先住民シャンディアと三つ巴のサバイバルを繰り広げることになってしまう。そして、激しい戦いを経て続々と脱落者が出た後、エネルは生き残りを決める最後の「生き残りゲーム」の開始を宣言するのだ。
この時のゾロ、ワイパー、ガン・フォール、ロビンがエネルに対して宣戦布告をするシーンは、思わず力が入るほど期待感に満ちていた。
しかし、エネルの「ゴロゴロの実」の力を前に、ロビンとガン・フォールは一撃で倒されてしまう。そんな強敵に対して起死回生の一撃を放ったのはワイパーだった。彼は海楼石を駆使して「排撃(リジェクト)」を直撃させたのだ。エネルが口から血を流し倒れている姿に、思わずスカッとした人も多いだろう。
だがその直後、絶望的な瞬間が訪れる。エネルはすぐさま自分の力で心臓マッサージを開始し、起き上がってきたのだ。そして呆然とするワイパーたちに、「――人は… “神”を恐れるのではない... “恐怖”こそが“神”なのだ」と笑みを浮かべて言い放った。
復活したエネルによってワイパーとゾロはあっという間に倒され、ナミだけが残されるという絶望的な展開が訪れる。復活したエネルの表情は鳥肌が立つぐらい不気味で、その絶望感は脳裏に焼き付くほどだった。
■麦わら一味、完全崩壊?黄猿の襲撃とくまの登場!
麦わらの一味が新世界に向かう前に立ち寄ったシャボンディ諸島を舞台とする「シャボンディ諸島編」。ルフィが天竜人を殴り倒したことで、この地に海軍本部大将・黄猿たちがやってきてしまう。そんな状況で絶望のシーンが描かれたのは、53巻513話「救えないっ!!!」である。
シャボンディ諸島に姿を現すやいなや、圧倒的な力を見せる黄猿。麦わらの一味は、「ピカピカの実」の光人間・黄猿はもちろん、パシフィスタや戦桃丸に対しても手も足も出ない。そんな中、レイリーの救援のおかげでわずかな隙ができたことで、一味は逃げる覚悟を決める。レイリーが黄猿の攻撃を止めた時には、希望が見えたと安堵したものだ。
しかし、そこへ七武海のひとりであるバーソロミュー・くまが突如として現れ、事態は急変する。
なんとくまがその手で触れた瞬間、ゾロが一瞬で消えたのだ。さらに、ブルック、ウソップ、サンジと仲間たちが次々と消されていく。為す術なくすべての仲間が消され、自分の無力さを痛感して泣き崩れるルフィ。するとくまは「――もう二度と会うことはない………」と伝え、ルフィをも消してしまうのだった。
こうして「シャボンディ諸島編」、「“麦わらの一味”は――『完全崩壊』を喫した――」という衝撃的なナレーションとともに幕を下ろす。
仲間たちがどんどん消えていく恐怖は、トラウマになってしまうほど強烈だ。本エピソードの「救えないっ!!!」というタイトル通りに、ルフィの絶望が描かれている。ルフィたちならどんな困難も乗り越えられるという考えを覆された、絶望的なシーンであった。