サンライズ制作による、1992年1月クールより、日本テレビ系金曜日17時の枠で放送されたアニメ『ママは小学4年生』。
『ガンダム』シリーズなどで知られるサンライズが手掛け、突如新番組として少女向けアニメの『ママは小学4年生』が始まったのだから衝撃を受けた人も多いだろう。同作は、主人公の小学4年生が一児の母になり子育てをするという、あらすじだけを見ると衝撃的な内容でもある。子どもが子どもを抱いているというビジュアルは特に印象的だ。
さらに詳しい内容を紹介すると、主人公の水木なつみが両親の都合で1人で夜を過ごしていたところ、突然の落雷とともにテレビから赤ちゃんが現れる。赤ちゃんは15年後の世界からやってきた未来の自分自身の子どもだった。なつみは赤ちゃんに「みらい」と名づけ、無事に未来に帰れるまで子育てをすることになる、というもの。
設定のSF要素に加えて、未来の子育て道具が出てきたりというフィクション要素が目立つものの、みらいちゃんに周囲の人が振り回されるコメディタッチのドタバタ劇ありの、ちゃんと観れば毎度ほっこりさせられるホームドラマテイストのアニメだった。中には親子間の愛情や、育児と仕事の両立など社会性のあるテーマも含まれている。
■序盤のほっこり展開から、終盤の緊迫展開の緩急がすごい
さて、物語序盤では慣れない子育てに奮闘するなつみ、そして天真爛漫なみらいちゃんと周囲の人との関わりが描かれるが、物語後半では心ないマスコミに赤ちゃんの存在をかぎつけられ、「10歳のママ」というセンセーショナルな内容として取り上げられるという、およそ子ども向けアニメとは思えない展開を迎える。
絶体絶命のピンチとなったなつみは、マスコミや周囲の大人たちの悪意の中、みらいちゃんを未来に返そうと決意。ようやくタイムマシンが完成し、最後のタイムスリップへと向かうシリアスな展開は大人が見ても手に汗握るほど神がかっていた。
最終回ではなんとかみらいちゃんを未来へ返すことができ、ホッとして感動したものだ。