■心躍る冒険ものを思わせる予告『HUNTER×HUNTER』

 1998年にスタートした『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博さん)といえば、念能力者同士の深い駆け引きがカギのバトルが名物である。しかし連載予告やデビュー号を見てみると、当初はファンタジーな冒険ストーリーを全面に押し出していたようだ。

 13号の連載予告ページでは「ワクワクドキドキの冒険がキミを待っている!!」「こ~んな動物も出てくるの!?」といった煽り文が載っており、14号に掲載された第1話の巻頭カラーでは「夢は最高のハンター! ゴンの冒険が今、始まる!!」と書かれている。どちらも未知の世界を探検するワクワク感を前面に押し出した文章のように感じる。

 確かに『HUNTER×HUNTER』の序盤では念能力は出てこないし、後年有名になったバトルよりもアクションの趣が強かったようにも思う。現在のイメージとのギャップがなんとも面白い。

■予告もデビューも的中率100%?『NARUTO』

 2000年代の『ジャンプ』を支えた看板漫画『NARUTOーナルトー』(岸本斉史さん)はどうだっただろうか。

 1999年42号の連載予告ページでは、「ナンじゃこりゃ!? ニンジャこりゃ!!」をテーマに『NARUTO』を発表している。一緒に書かれた「超えちゃう! 変えちゃう!」は、『ジャンプ』の歴史を見事に変えた本作の偉業を考えるとなんとも味わい深い。

 ちなみに作者の岸本さんは『NARUTO』が初連載だったが、連載が始まった43号の表紙では「ジャンプの鬼才! 岸本斉史」と紹介されている。ここから発行部数は優に2億部超え、今や世界中で大人気の『NARUTO』が生まれたのだ。「鬼才」はこの上なくふさわしい呼び名だろう。

 予告、デビュー号ともに『NARUTO』の大成功を予言したかのようではないか。これも忍術だったりして?

 

 『ジャンプ』の連載予告やデビュー号の煽り文は、基本的に作品を好意的にアピールするものだが、その中身は作品や時代に応じて当然変わってくる。こうして見比べてみると個性が感じられ、これもひとつの漫画の楽しみ方に思えてくるから不思議だ。

 昔の『ジャンプ』をお持ちの方は、好きな漫画の栄えあるデビューはどんなものだったか、調べてみてはいかがだろうか。

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