どんな漫画もそうだが、連載する前から面白いかは誰にもわからない。だが「どれくらい期待されていたか?」は、始まる前からなんとなく想像できる。連載予告は大々的だったか、連載開始号でどんな煽り文が書かれていたか。そういった“目に見えるもの”から作品に対する期待度は見えてくるものだ。
今回は『週刊少年ジャンプ』(集英社)の歴史で燦然と輝く4作品の連載予告やデビュー号を調べてみた。『ドラゴンボール』『ONE PIECE』、『HUNTER×HUNTER』に『NARUTO』……のちの名作のデビューは、どんなものだったのだろうか。
■連載予告に悟空がいない!『ドラゴンボール』
まずは、『ジャンプ』不朽不滅のバトル漫画『ドラゴンボール』(鳥山明さん)から。前作『Dr.スランプ』の大成功もあり、連載スタートからかなり期待されていたようだ。
1984年50号には本作の連載予告が掲載されており、「超ビッグ新連載スタート!!」の言葉とともに見開きで紹介されている。
意外だったのは、一緒に描かれているイラストに主人公・孫悟空がいないことだ。とはいえ、ドラゴンボールを携えた龍が2ページに渡って描かれており、迫力たっぷりだ。
連載開始号である同年50号は、巻頭カラー31ページと新連載としてはかなり多い。表紙に書かれた「ヒットメーカー鳥山明 戦列復帰!!」からも、鳥山さんが当時から『ジャンプ』のスター作家であったことが十分に伺える内容だった。
■初連載だけど「お待たせ!!」『ONE PIECE』
連載27年を突破した、海洋冒険ロマン『ONE PIECE』(尾田栄一郎さん)にも、当然だがデビューの瞬間が存在する。それが、1997年7月発売の34号だ。
その前号となる33号に『ONE PIECE』の連載予告が載っており、「この夏一番のビッグウェーブ!!」の見出しとともにモンキー・D・ルフィのイラストが描かれていた。この夏どころか日本一番といっても良いような漫画になるとは、さすがに思わなかっただろう。
そして34号の表紙では興味深いことに「お待たせ!! 尾田栄一郎先生新連載!!」と書いてある。当時の尾田さんは『ONE PIECE』が初連載であり、『ジャンプ』では読み切り『ROMANCE DAWN』を1度掲載しただけの新人漫画家だった。
それでも「お待たせ」と書かれるとは、編集部や読者が考えていた「新人・尾田栄一郎」への期待はかなり高かったのかもしれない。