■コミカルなキャラが唐突に迎えた壮絶な最期
『機動戦士ガンダムZZ』に登場する「マシュマー・セロ」は、視聴者に強烈なインパクトを与えたキャラとして知られている。
主君であるハマーン・カーンを、度を超えたレベルで敬愛。ハマーンにもらったバラをコーティングして保存して常日頃から持ち歩き、戦場でそのバラをくわえるなど、とにかく奇行が目立った残念なイケメンである。
物語前半は主人公のジュドー・アーシタのライバル的な立ち位置ながら、あまりにもコミカルなキャラすぎて、シリアスさは微塵も感じられなかった。
しかし実際のところ、マシュマーはかなり優秀なパイロットである。とくに強化人間となってから迎えたグレミーの反乱時には、「ザクIII改」を駆って巨大モビルスーツ「クィン・マンサ」を相手に互角以上の戦いぶりをみせた。
しかし第45話「アクシズの戦闘」で、まさかの展開を迎える。
ラカン・ダカランの率いるドーベン・ウルフ隊に捕らえられたマシュマー。四方からメガランチャーを同時発射されると、マシュマーは得体のしれないバリアを張って攻撃を跳ね返す。
さらに「ハマーン様、バンザーイ!」のかけ声とともに、マシュマーのザクIII改は謎の光に包まれ、近くの機体もろとも戦場から消滅した。その、あまりにも衝撃的な展開に、本当に死んだのか一瞬理解できなかったほどである。だが無情にも、周辺にいたニュータイプたちが、マシュマーの死を即座に悟って反応していた。
マシュマー・セロという男は、ガンダム作品では珍しいコミカルなノリのキャラだっただけに、このようなかたちで戦場から消えるのは予想できなかった。
どんな主要キャラだろうとも、容赦なく退場させられるのが『ガンダム』作品ならではのリアリティのある部分なのかもしれない。ガンダム作品を愛する皆様は、まさか死ぬとは思わなくてショックを受けたキャラといえば、誰を思い浮かべるだろうか。