『機動戦士ガンダム』は、それまでのロボットアニメとは一線を画し、戦争を背景にしたリアルなストーリーで人気を博した。それだけに「人の死」は避けられないものとして、ときに生々しく表現されている。
なかでも活躍が多かった主要キャラクターの退場シーンは、さまざまな角度から視聴者に大きな衝撃を与えた。そして、ときには「こいつは死なないだろう」と思うような意外な人物までもが、あっけなく散る場面も……。
そこで今回は、主要キャラに訪れた予想外の「死」に驚かされた場面を振り返っていこう。
■名メカニックが迎えた、あまりにも「あっけない死」
宇宙世紀の『ガンダム』シリーズを代表するメカニックといえば「アストナージ・メドッソ」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』を経て、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』まで、宇宙世紀の主要作品に登場し続けた人物だ。
カミーユにとっては良き同僚であり友人。ジュドーたち「シャングリラ・チルドレン」にとっては頼もしい兄貴分。そしてアムロとのつきあいも長く、会話の節々から互いに信頼を置いているのが伝わってくる。
『ガンダム』においてメカニックは裏方ではあるものの、パイロットとの接点は多く、歴代主人公と良い信頼関係を構築してきたのがアストナージである。
そんな彼に訪れた突然の死は『逆襲のシャア』のなかで描かれている。アストナージは、傷ついたリ・ガズィで戦場に出ようとするチェーン・アギを止めようとするが、彼女は無理やり出撃していった。
その直後、ラー・カイラムのデッキ付近に流れ弾が着弾。その爆発に巻き込まれ、アストナージはあっけなく死亡した。
複数の作品にまたがって活躍した名メカニックの最期とは思えない、あまりにもあっさりした描写で、逆に驚いたほどだ。初見だと、アストナージが戦死したことにすら気づかなかった人もいるかもしれない……。
■強化人間ヒロインのジンクスを破れず
『機動戦士ガンダムUC』に登場する強化人間「マリーダ・クルス」。ガンダム作品では、多くの強化人間が悲劇的な最期を迎えており、マリーダもそうなるだろうと感じていた人は多いはず。
しかしマリーダは、序盤に主人公のバナージ・リンクスと敵対するものの、戦場以外の場所でふれあうシーンも多く、彼に良い影響を与えていく。バナージの名言として知られる「それでも!」は、マリーダが「言い続けろ」と伝えて、彼に刻み込んだ言葉である。
そんなマリーダはバナージだけでなく、ミネバからの信頼も厚く、姉のような存在になっていく。一時は強化人間として再調整を受け、錯乱状態に陥る場面もあったが、それもバナージに救われるなど、物語のキーマンとして存在感を示した。
そして、とうとう最終決戦までマリーダは生き残り、しかも主人公と同じ陣営で戦うことに。ついに強化人間の不幸なジンクスは打ち破れると思いきや、最後の最後に錯乱したリディの手によって戦場に散った……。