ボールや旧ザク、ジオン水泳部まで!? ガンダム作品の「ロートル機体」による下剋上 “ポンコツ”とは呼ばせない「奇跡の活躍」の画像
「1/144 旧型ザク」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 数多くのモビルスーツが登場する「ガンダム」シリーズでは、新旧さまざまな機体が入り混じって戦うことになる。長きにわたる戦争のなかで、次々と新鋭機が登場する一方、機体の老朽化は避けられない問題だ。

 しかし、時には「ポンコツ」と呼ばれるような古びた機体が輝きを放つ瞬間もあり、そういうシーンは視聴者に新たな驚きや感動を与えてくれる。

 そこで本記事では、旧式の機体が下剋上を成し遂げたり、最新鋭機に「あと一歩」まで迫った活躍シーンを振り返っていこう。

■ガンダム相手にベテラン兵が「旧ザク」で見せた意地

機動戦士ガンダム』の第3話「敵の補給艦を叩け!」には、「旧ザク」の通称でおなじみの「ザクI」が登場する。型式番号「MS-05B」ザクIは、ジオン公国軍が最初に正式採用し、実戦配備した最古のモビルスーツである。

 しかし、アニメで描かれた一年戦争時は、すでに後継のザクIIが主力機となっており、旧ザクはその名の通り旧式になっていた。第3話に登場した旧ザクは、やはり旧式の補給艦パプアに搭載され、ベテラン兵士であるガデム大尉の指揮のもと、主に後方支援を行っていた。

 アニメの劇中では、ガデム大尉は弾薬を使い果たしたシャアの部隊にザクII2機を送り届け、補給を行う任務にあたっている。

 だが、そこに奇襲をしかけてきたホワイトベース隊の攻撃を受け、ガデムは自ら旧ザクに乗り込んでMSの受け渡し作業を続行する。なんとかザクIIや補給物資を艦から投下できたものの、この攻撃によって補給艦パプアは撃沈された。

 本来の補給任務をやりとげたガデムは、そのまま旧ザクで連邦の新型であるガンダムに挑む。

 百戦錬磨のベテランであるガデムは、ガンダムの初撃のビーム・サーベルをかわしながら「素人め! 間合いが遠いわ!」と言い放つ。さらにガンダムに対して、旧ザクでショルダータックルをぶちかました。

 だが、ガンダムの頑丈なボディに通用するはずもなく、直後にビームサーベルで胴体を斬り裂かれると、ガデムの旧ザクは爆散した。

 短い戦闘ではあったが、アムロのガンダムの攻撃を見切って回避し、武器も持たない旧ザクでタックルを食らわせたのは、ガデムの老練の腕があってのことだろう。旧式のザクIで見せた、ガデムのささやかな抵抗は、多くのファンの心に残ったに違いない。

■一年戦争時の旧式で、次世代の機体相手に奮戦した「ジュアッグ」

 OVA『機動戦士ガンダムUC』の第4話「重力の井戸の底で」には、一年戦争時の機体である「ジュアッグ」が登場した。

 型式番号「MSM-04G」ジュアッグは、一年戦争時のジャブロー攻略戦用に開発されたアッグシリーズの1機。のちにファンの間で「ジオン水泳部」などと呼ばれ、親しまれている。しかしジュアッグはアニメ内に登場することはなく、長らく映像作品でその雄姿を見ることはなかった。

 そんなジュアッグが、満を持して『機動戦士ガンダムUC』に登場。カプールとともに、地球連邦の首都ダカールを襲撃するジオン残党軍の戦力として参加していた。

 ちなみに、『ガンダムUC』の舞台は、宇宙世紀0096年であり、ジュアッグが造られた一年戦争時(0079年)から17年ほどが経過していた。この時代において、いかにジュアッグがロートル機体だったかお分かりいただけるだろう。

 そのジュアッグが戦ったのは、当時の最新鋭機ではないもののジュアッグよりは世代が新しいジムIIやジムIII、ネモといった機体である。

 どう考えても分が悪い戦いに思えたが、ジュアッグはいきなりロケットランチャーを放ってジムIIを仕留める。

 続いて斬りかかってきたネモのビームサーベルを右腕の砲身で受けとめ、左腕の先端をネモのコックピットに突き刺して粉砕。さらに、もう一機のネモもメガ粒子砲で撃沈し、圧巻のパフォーマンスを見せた。

 しかし、さすがのジュアッグも背後から襲いかかってきたジムIIIのビームジャベリンを受けとめきれず、左腕のロケットランチャーの砲身を切断され、胴体部にジャベリンを突き刺された。

 それでもパイロットは諦めず、なおも反撃の意思を見せようとしたが、そこに連邦側の追撃があり、ついにジュアッグは力尽きる。

 こうして最終的にはジュアッグは敗れはしたものの、明らかに性能が上と思われる機体を相手に、獅子奮迅の活躍を見せてくれた。

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