『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載中の原泰久氏による『キングダム』。その人気から実写映画も制作され、現在、シリーズ最終章、『キングダム 大将軍の帰還』が大ヒット上映中だ。
この実写映画4部作は王都奪還から始まり、主人公・信の初陣である「蛇甘平原の戦い」、そして“飛信隊”が結成された「馬陽の戦い」までが描かれている。
飛信隊と言えば、常人離れした活躍を見せる信や羌瘣はもちろん、その他の仲間たちも非常に魅力的だ。信という男に惚れ、ともに戦い、強い絆を築いており、素晴らしい活躍を見せている。
そこで今回は、映画4部作の舞台となった「蛇甘平原の戦い」と「馬陽の戦い」から、飛信隊古参メンバーたちの名シーンを振り返っていきたい。
■飛信隊の誕生を予感させる「宮元」戦
信の初陣となった「蛇甘平原の戦い」。このとき信は一兵卒であり、“飛信隊”もまだ結成されていなかった。しかし、思い返してみると、この戦いこそ“飛信隊”の核を作った戦いであったように感じる。
魏の装甲戦車隊によって突入早速ピンチに陥った信のいた歩兵隊。しかし羌瘣の機転と、信が馬に乗り生き残った歩兵を率いたことで、千人将・縛虎申が突撃して来るまでなんとか持ちこたえてみせた。
その勢いで縛虎申は、丘上に陣取る魏軍副将・宮元の首を取るべく歩兵を引き連れ敵中央軍を突破する。そして、宮元までもう少しという丘の麓まで来ると、縛虎申は馬に乗る信に対して「貴様は伍を離れ先頭に来い」と命令を下した。
騎馬隊から離れ敵陣深くで取り残される歩兵のことを思い躊躇する信に、尾平は「今さら俺達のことなんか気にすんな」「天下の大将軍になるんだろ」と言って送り出した。
城戸村の同郷の尾平は「天下の大将軍になる」と威勢の良いことばかり言う信を昔からバカにしていたが、実際戦場で先頭に立って戦う信の姿を見て、ほかの兵とは違う何かを感じたのだろう。そして、縛虎申とともに丘を駆けあがった信は、見事、魏軍副将・宮元を討ち取り丘を奪い取って見せた。
ちなみに、この歩兵のなかには、信と伍を組んだ伍長の澤圭、羌瘣、尾兵、尾到。さらに沛浪や田有などの姿もあり、名こそついていなかったが“飛信隊”の核がこの戦いでできていた。
■“飛信隊”という名をもらい特殊任務をやり遂げた「馮忌」戦
先の武功により「馬陽の戦い」では百人将となった信。
沛浪に「荒くれ者でもいいとにかく強そうな伍を集めてくれ」と頼み、自らの百人隊を作った。そして、王騎によって「馮忌の首を取ってこい」という任務が与えられ、ここで初めて“飛信隊”という名が与えられたのだ。
信が飛信隊の副将に選んだのが羌瘣と渕だった。渕は、壁が信に付けた連絡係であったが、王騎が信に与えた試練“無国籍地帯の平定”をともにやり遂げるなど、根性があり責任感のある男だ。
馮忌軍2万の側面から突入したものの、なかなか前に進めない飛信隊。その打開策として馮忌に突撃する精鋭部隊と、壁となって犠牲になる隊に分けることになった際も「私は残ります! この場で戦う者達にも将は必要ですからね」と志願し、残りの兵を率いたのも渕だった。そして壁として残ってくれた兵により精鋭部隊で突撃できた飛信隊は、干央や壁の隊と連携し、見事馮忌の首を討ち取った。
ちなみに、絶望的だと思われた渕たちの隊も多くが生き残っていた。武力や知略などお世辞にも突出した才能はない渕であるものの、飛信隊結成時から非常に頼りになる男だったように思う。