■常夏化を商売に活かした「東京常夏ボーイズの巻」
148巻収録の「東京常夏ボーイズの巻」は、暑さのあまり異常現象が頻発する東京で商機を見出す両さんが見どころだ。
真夏日が77日連続し、最高気温は41.3度と異次元の猛暑に見舞われた東京では、それまで生息しなかった亜熱帯の植物や動物が生息する異常事態が発生するようになっていた。
もはや東京は常夏化したと読んだ両さんは、この機を逃さず夏関連の株を買いまくり、大儲けする。そこで終わらず、儲けた資金で上野不忍池を巨大プール施設「しのばずビーチランド」に大改造するのだ。
こちらも見事に大成功。酷暑を利用する両さんの抜け目のなさが光る流れだ。
ところが、自然は甘くなかった。常夏化を招いた異常気象はさらに加速し、どういうわけか35度からマイナス1度に急転落する「冬化」が発生。9月にはマイナス20度となり、「しのばずビーチランド」の客足はぱったり途絶えてしまうのだ。
これにはさすがの両さんもお手上げか?と読者が思ったのも束の間。氷点下でカチコチに凍ったプールを利用して「しのばずスケートリンク」を開き、商売を建て直すのである。商売で一番大事なのは、損をしても諦めず逆転を狙うことかもしれない。
両さんにとって猛暑はピンチに値しない。むしろチャンスと捉えて商売に活かしたり、日常を快適に過ごすアイデアを思いつくきっかけにしたり、暑さをバネに高く跳ぼうとする。その行動力こそが両さんの唯一無二の魅力だろう。
まだまだ暑い日が続くが、両さんを見習って記録的猛暑を乗り切りたいものだ。