■ベジータとフリーザも結果やられていない

 悟空と対決したベジータとフリーザだが、実は二人とも元気玉ではやられていない。

 初登場時のベジータも凄まじい強さを誇っており、悟空が4倍界王拳のかめはめ波を放っても倒せず、大猿化したことで戦闘力がさらにアップ。悟空たちは絶望的な状況に追い込まれた。

 その後、地球上の元気を集めてなんとか元気玉を直撃させたが、それでもベジータは立ち上がって攻撃してきたほどである。彼を倒すには“元気”が足りなかったのだろう。

 フリーザはさらに凄まじく、悟空が界王拳を20倍にしても力が及ばなかった。最終的に悟空は、ベジータ戦で披露したサイズよりもかなり大きい元気玉を作っていた。クリリン曰く、ナメック星だけでなくそこらじゅうの星の気を集めて作っていたという。

 だが、それでもフリーザを倒すには至らず、結果としてクリリンは爆死させられてしまう。まあ、集めた元気が足りないというよりは、その時点でのベジータとフリーザのレベルが高過ぎたというのが要因だったのかもしれない。

■世界規模で元気を集めた結果、最強の魔人ブウを撃破!

 元気玉で勝負が決まったのは「魔人ブウ編」だ。原作での魔人ブウは最強のパワーを誇り、悟空やベジータ、悟飯でも勝てないほど圧倒的な強さを見せつけた。

 決め手となったのは元気玉だ。地球上の人間から元気を集めることができれば倒せるのではないかという、ベジータの提案だった。

 北の界王を通じて、世界の人間たちに交信をするベジータ。しかし、一般的な地球人たちはベジータのことなんて知らないし、「手を 空にむけてあげろ!! おまえたちの力を集めてブウを倒すんだ!!」なんて言われても、まったく信用できない。というか、そもそも地球を侵略しに来たお前が言うなという感じだが……。

 その後、悟空が頼み込むと、これまで彼と交流を深めてきた人たちによって元気が集まってくる。しかし、それでも世界中の人たちには及ばず「なんで みんな わかってくれねえんだよ!!」と、悲痛な思いを叫ぶ悟空。

 だがここで、満を持してミスター・サタンの登場である。悟空たちの様子を見ていた彼が、「きさまらいいかげんにしろーっ!!! さっさと 協力しないかーっ!!!」と叫ぶと、ブウと戦っているのはサタンなのだと勘違いした人間たちが「サーターン」の声とともに元気を送り、ようやく気が集まってくるのだ。

 いち格闘家が世界中の人に言うことを聞かせるなんてなかなか難しいことだが……しかし、全世界を恐怖に陥れたセルゲームで勝利したのはサタンということになっているからこそ、可能となったのだろう。

 そして、ベジータが命をかけて元気玉を作る時間を稼ぎ、とんでもない規模の元気玉が完成。最終的には、ドラゴンボールで体力を回復させた悟空の元気玉によって、魔人ブウは細胞ひとつ残さず完全に消え去ったのだった。

 

 こうして考えてみると、元気玉は1対1の戦いには向いていないように思う。誰かが時間を稼ぎ、その間に元気を集める必要があるだろう。ベジータ戦とフリーザ戦では倒すことまでできなかったものの、2人を死ぬ寸前まで追い詰めたのは間違いない。

 最初から仲間たちが時間を稼いで立ち向かい、その隙に悟空が元気を集めるのが理想といえるのだが……自分で戦いたい悟空はそれをしないだろうから困ったものである。

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