■甘酸っぱい恋心の行方はいかに?『魔女の宅急便』

 1989年公開の『魔女の宅急便』は、角野栄子さん原作の児童書をアニメ化した作品だ。

 見習い魔女のキキが一人前になるため住み慣れた町を旅立ち、見知らぬ土地で奮闘していく本作。魔女を見慣れない人が多いコリコの町で、キキは親切なパン屋のおかみ・おソノと出会い、未熟ながらも働きながら生活を営んでいく。

 そんなキキが出会ったのが、少年・トンボだ。トンボは飛行クラブに所属するほど空を愛する少年で、ホウキで空を飛べるキキに憧れ、興味を持っていく。そしてこの出会いをきっかけに、キキは年頃の女の子が抱える悩みにも直面することに……。

 クライマックスでは飛行船にぶら下がってしまったトンボを救うため、キキが立ち上がるというヒーローさながらの救出劇が描かれ、爽快な後味を楽しむことができる。そして、エンドロールでは、荒井由実(松任谷由実)さんの『やさしさに包まれたなら』が流れ、キャラの“その後”の様子が描かれている。

 キキの相棒である黒猫のジジは、子猫が産まれ父親になり、トンボは自作の飛行機に乗ってホウキに乗ったキキと一緒に空を飛んでいる。それだけでなく、キキはコリコの町で友人もできたようで、仕事も順風満帆。おソノさん夫婦にも赤ちゃんが産まれるなど、幸せに包まれたシーンが次々と映し出されていく。

 キキとトンボが恋仲になったのかは定かではないものの、キキのそばには常にトンボがいるので、“大切な人”であることは間違いないだろう。まさにエンディングテーマのとおり、“やさしさに包まれた”エンドロールとなっていた。

 

 本編だけでなく、エンドロールでもファンを楽しませてくれるジブリ作品たち。キャラのその後が気になるファンにとっては嬉しいご褒美のような仕掛けとなっており、見逃すことはできない。

 イラストで描かれたなかに物語を想像して、何度も噛み締めることができるところもジブリ作品が愛されるゆえんだろう。ぜひ放送でも、エンドロールまでまるごと楽しんでみてはいかがだろうか。

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