■生首が飛んでくる演出に絶叫!? 眠るのが怖くなるエピソードも
『あなたの知らない世界』が怖かったのは、その恐ろしい演出方法にも理由があっただろう。
たとえば、初めて1人暮らしをした女子大生の恐怖体験を紹介する「恐怖体験!私を襲う男の霊!?」というエピソード。
女性は初めてそのマンションで暮らし始めた日から、なぜか嫌な雰囲気がしたという。それ以来、常に誰かに見られているような気がするように……。
それから徐々に就寝中に金縛りが起こるようになっていく女性。それはなぜかいつも午前2時に起こる。目を開けるとゆらゆらと着物が空中を飛んでいたり、背中を刺される感覚がしたり、突然男性の生首が目前に飛んできたりもするのだ。結果、精神的に参ってしまい、ついに女性は部屋を出ることになってしまった……というこのエピソード。
後日談として、このマンションの隣のマンションに住む予備校生が、1年前に飛び降り自殺をしていたことが明かされており、「女性は霊に“呼ばれた”のではないか?」と、スタジオでは論争が繰り広げられていた。司会のみのもんたさんをはじめ、放送作家の新倉イワオさんやゲストたちが神妙な顔つきで心霊現象について話していたのも印象的だ。
そういえば、筆者が小学生だった当時、クラスメイトの誰かが“昨日金縛りにあって怖かった”という話をしていた。この時代「金縛り」というワードがやたら流行っていたのは、この番組がきっかけだった印象がある。
また、生首が飛ぶ、大音量とともに霊が現れるといったさまざまな演出も恐ろしかった。そのたびに体をビクッとさせたり、叫んだりしていた子どもは筆者だけではないはずだ。またそのようなシーンを見てしまうと、夜に眠れなくなるのもお約束だった。目を開けたら、番組で出てきたような怪奇現象に襲われたらどうしよう……という恐怖心にとらわれてしまうのである。
ちなみに筆者の場合、毎年帰省していた田舎にある祖母の家でこの番組を見ていた。仏壇のお線香の香りも相まって、トラウマになるほど恐怖を感じた番組だった。
子どもたちに恐怖を植え付けた『あなたの知らない世界』。ついつい見てしまった日には一人でトイレに行くのも怖くなり、姉に無理やりついてきてもらった覚えもある。そんな番組なのに、なぜか次の日のお昼も見てしまうのだ。
『あなたの知らない世界』には、そんな“怖いもの見たさ”を掻き立てる魅力があったのは間違いない。今となっては懐かしく、子ども時代にゾッとする思い出を添えてくれた稀少な番組であった。