チビッコたちにトラウマ「トイレに行けない…」…昭和を代表する恐怖番組『あなたの知らない世界』を振り返るの画像
『新あなたの知らない世界』[DVD](バップ)

 昭和を代表するオカルト番組といえば『あなたの知らない世界』を思い出す人も多いだろう。本作は1973年から1997年まで日本テレビ系列の『お昼のワイドショー』や『午後は◯◯おもいッきりテレビ』内で放送された番組だ。夏休みの昼時に放送されていたことが多く、休み中に見ていた子どもたちを恐怖に陥れた人気番組である。

 この番組は、実際に視聴者が体験した恐怖を再現VTRで放送した内容が多かった。その背筋が凍るような内容は、昭和生まれの筆者にとっても強烈な思い出となっている。そこで今回は、当時放送されていた再現VTRを、思い出とともに振り返ってみたい。

■オカルトあるあるを決定づけた!? トンネルでの恐怖

 まずは、「恐怖の夏休み!亡霊渦巻く魔界のトンネル」のエピソードを紹介したい。

 車でキャンプ場を目指す大学生の男女4人。道に迷い、途中で出会った老人にキャンプ場までの道を聞いたところ「トンネルの向こうじゃが、行くのかい?」と意味ありげに言われる大学生たち。

 その後、トンネルに入るも、走っても走ってもなぜか出口が見つからない。さらに、トンネル内で車を降りた女性は岩に映る顔を見たり、いるはずのない少女に遭遇したりする。

 なんとかキャンプ場に到着する4人だったが、再び少女に遭遇したり仲間が川に引きずり込まれたりと、怪奇現象に襲われ続ける。

 怖くなり帰ることにした4人は、山のなかで倒れた卒塔婆を供養する僧侶に遭遇。その卒塔婆は、怪異に遭った女性がキャンプ場に来る際に倒してしまったものだった。僧侶によると、ここでは過去に女の子が溺れて亡くなり、そのショックから母親も自殺をしたという悲しい出来事があった場所だという。それ以来トンネルやキャンプ場での水難事故が多発し、結局、キャンプ場は閉鎖されていた。

 では、そもそも4人が泊まったキャンプ場はどこだったのか……という謎を残したこのエピソード。僧侶と最初に出会った老人が同じ人だった気がする……と疑惑を持つ女性がラストで出てくるが、いろいろと真相がはっきりしないからこそ、逆に不気味に感じてしまう。

 このように、若い男女が車で遊びに行く途中で怪奇現象に巻き込まれるオカルト話は現在でも多い。若者が過去の物を壊し、それが原因で霊が怒るというパターンもよく見かける。

 また、トンネルにまつわる話も多く、SNSを中心に恐ろしいエピソードがたくさん出てくる。『あなたの知らない世界』は、こうした“オカルトあるある”を決定づけた最初の番組と言えるかもしれない。

■私には見えるんです…霊感のある視聴者の体験も多かった

『あなたの知らない世界』では霊感をテーマにした話も多かった。視聴者が実際に体験した話のなかでも、“予知能力”や“霊が見える”といったエピソードも複数あった。

 たとえば「私はココよ…?! 殺された少女の哀絶な叫び…」では、普段から霊感が強いとされる主婦が登場する。主婦は、友人の家に行ってそこで嫌な雰囲気があるとその家には決まって不幸が起きるといった体験を繰り返していた。

 ある日、主婦が寝ていると、行方不明事件で世間を騒がせている少女が枕元に現れる。その少女はその後何度も主婦のもとに現れるのだが、あるとき手招きをし「おいでおいで」と、主婦を河原に連れて行く。するとそこでは見たことのない男性が穴を掘っている気味の悪い光景が……。その後、話を信じた友人とともにその河原の場所を見つけようとしてみるも、突如、激しい頭痛に見舞われて主婦は断念してしまう。

 だが、それからも主婦のもとには少女が現れ続けた。そして「ここよ、ここよ」と指を差し、自身が横たわっている状況を伝えてくるのであった。

 それからまもなくして本当に少女の遺体は発見されるのだが、その状況は主婦が夢で見た光景と同じだった……というこのエピソード。

 不思議な夢や予知能力といった話は現在でも多いが、『あなたの知らない世界』が放送されていた当時は、さらに話題となっていたように思う。本番組以外にも、超能力などを使って行方不明者を探すための番組もよく展開されていた。

 残念ながらこうした番組には科学的根拠がなく、大きな成果も上げられなかったためか現在、放送されることはほとんどない。しかし本当にこういった能力があれば、いろいろな事件や事故から人を救えるかもしれない……と、希望のようなものも感じさせるエピソードだ。

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