■別れを惜しんだ「魔人ブウ編」ベジータの父性に感動も

「魔人ブウ編」に入ると、娘は『ドラゴンボール』を急に読まなくなった。その理由は「もうすぐ完結するのが悲しすぎて読めない」のだという。分かるぞその気持ち……。しかし反応を知りたい筆者に急かされ、しぶしぶ読み始めた娘。するともう止まらない。5冊を一気に読破した。

 ちなみに「魔人ブウ編」で初めてブウを見た娘は。「『千と千尋の神隠し』の坊みたい!」と叫んだ。そうか、おそらく登場はブウのほうが先だが、令和っ子にとっては坊のほうがインパクトが強いのかもしれない。

 また、フュージョンの技でキャラ同士が合体するシーンに感動し、「この漫画って最初は悪者でも、徐々に良い人になっていくのが良いね」と。登場当初は毛嫌いしていたピッコロやベジータのことも、すっかり好きになってしまったようだ。

 とくにベジータがトランクスに対し、“遊園地に連れてってやるぞ”とか“小遣いを減らすぞ”と父として応じるシーンに感激し、「すっかり地球人の良い父親になったね」と喜んでいた。

 こうしてたくさんの喜怒哀楽を与えてくれた『ドラゴンボール』。娘は読み終わったあと「終わっちゃった……」とつぶやき、しばし放心状態であった。

 

 今回、『ドラゴンボール』を読み終えた娘に感想をまとめて聞いてみた。一番の感動シーンは「ピッコロが悟飯をナッパの攻撃から守ったシーン」。そのほか印象に残ったのは「セルを悟飯と悟空の親子かめはめ波でやっつけたシーン」や「ベジータの子ども(トランクス)が出てきてびっくりした展開」だそうだ。

 この感想は、連載当時『ドラゴンボール』を読んでいた世代の感想とそう変わりはしないだろう。続きが気になって夢中になって読み進めた思い出が蘇ってくる。

 『ドラゴンボール』は、完全版でも背表紙の絵がつながる仕様になっている。読み終えた娘は我が家のリビングの一番良い位置に完全版をズラリと並べ、そして『ドラゴンボール』ファンなら必ず口にするセリフをつぶやいた。

「面白かった。さて、もう一度最初から読もう」と。

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