さまざまなドラマが生まれた、2024年「パリ五輪」。観る者を感動させる数々の名シーンが生まれたが、なかでも世界中でバズった射撃混合10mエアピストルのトルコ代表、ユスフ・ディケチさんのクールな射撃ポーズが忘れられない!という読者も多いのではないだろうか。
Tシャツ一枚にエアピストルのみを構えたラフなスタイルで銀メダリストとなったユスフさんは、その格好から「無課金おじさん」とも呼ばれ、大いに話題になった。ポケットに片手を入れたスマートな立ち姿、競技用装備を使わずピストルだけで銀メダルを獲得した腕前、的を射抜く鋭い眼差し、どれをとってもカッコよすぎる。まるでアクション映画から飛び出してきた歴戦のガンマンだ。
だが、日本が世界に誇る漫画だって負けてはいない。今回は「無課金おじさん」にもヒケをとらないほどカッコいい拳銃使いキャラを見ていこう。
■実は無課金おじさんと同じ射撃ポーズをしていた!?『シティーハンター』冴羽獠
まずは80年代の『週刊少年ジャンプ』(集英社)を支えた名作『シティーハンター』(北条司さん)の冴羽獠からだ。
新宿の裏社会で厄介事を引き受ける「スイーパー」として生きる獠の武器は、超一流と呼ばれる射撃の腕だ。1発目の銃弾で空けた穴に2発3発と撃ち込むワンホールショットを得意としており、狙った獲物はまず外さない。普段はおちゃらけたナンパ男が、銃を持てば誰にも負けないガンマンに切り替わるギャップに憧れた人も多いだろう。
そんな獠だが、実はユスフさんと同じ射撃ポーズをとったことがあるのをご存知だろうか。
原作の第8話には、パートナーになったばかりの香に銃の撃ち方を教えようと獠がお手本を見せるシーンがある。その時の獠は右手に拳銃を構えてやや半身になり、左手はポケットに入れていた。そう、ユスフさんのあの構えとそっくりなのだ。
超一流と超一流は通じ合う、ということなのだろうか……。気になる人はぜひ原作漫画を読んでいただきたい。
■古式ゆかしいリボルバーへのこだわり『ルパン三世』次元大介
1967年から『漫画アクション』(双葉社)にて連載された『ルパン三世』(モンキー・パンチさん)の次元大介も、漫画界屈指の銃使いとしてファンから何十年と愛され続けるキャラだ。
軽いノリで計画を立てるルパン三世を皮肉交じりに諭す冷静さ、ここぞの場面で義理をとってルパンの力になる男気、なにより早撃ち0.3秒に代表される神業が如き射撃……挙げていけばキリがないほど魅力にあふれているのが、次元というガンマンだ。
あえて次元のカッコよさをひとつ選ぶなら、筆者は使う銃にこだわっている点を推したい。
次元の愛銃は「S&W M19 コンバッド・マグナム」といい、いわゆるリボルバーマグナムだ。次元はこのリボルバーを徹底的に使い込んでおり、作中でも絶体絶命のピンチをリボルバーとともに何度も切り抜けてきた。一方で、ルパンが使うオートマチックは「下品」などと切り捨て、目もくれないのだ。
リロードに手間がかかるなど不便も目立つリボルバーにこだわり続ける次元には確かな美学があり、それを貫く生きざまこそが彼のカッコよさの根幹と思えてならない。ルパンの無茶な計画に現実的な意見を言う次元こそが、実は誰よりロマンチストなのかも。