猛暑が続く今年の夏。外に出るのも億劫なときは、家でのんびりアニメをイッキ見するというお盆休みの過ごし方もありだろう。とくにNetflixでは、オリジナル制作による独占配信のアニメが多くあり、中には往年の名作が知らない間にアニメ化されていたということも少なくない。
そこで今回は、この夏にイッキ見するにはうってつけの「Netflixオリジナルアニメ」を紹介したい。
まずは、藤子・F・不二雄さんの隠れた名作である『T・Pぼん』。藤子・F・不二雄さんの生誕90周年を記念して2024年の5月と7月にシーズン1(12エピソード)とシーズン2(12エピソード)が配信されたばかりだ。
同作は中学生の主人公・並平凡(なみひら ぼん)がひょんなことからT・P(タイムパトロール)見習い隊員となり、処刑や事故などの不幸な死を遂げた人々を救助していくSFストーリー。
1989年に2時間枠の特別番組としてアニメ化されたが、シリーズ化は今回が初となる。新作アニメではぼんが暮らす「現代」の設定が昭和から令和に改められ、設定もところどころ変わっているが、概ね原作準拠の内容となっており原作ファンも安心して見られる内容になっている。
藤子・F・不二雄さんの作品としては珍しく、主人公が中学生であることから読者層も他の作品に比べて高めの想定だったのだろう。歴史にまつわる重厚な物語が描かれ、中にはショッキングな描写もある。
たとえば5話には、魔女裁判にあう女性が水責めなどのひどい拷問を受け、はりつけにされているシーンもあった。藤子・F・不二雄さんのタッチで残酷な展開が描かれるのは、『ドラえもん』しかなじみのない視聴者には驚きかもしれない。しかし大人であっても十分に楽しめる、そして考えさせられるアニメとなっている。
SF作品では、『20世紀少年』や『MONSTER』でおなじみの浦沢直樹さんの漫画が原作のアニメ『PLUTO』(8エピソード)もおすすめ。同作は手塚治虫さんによる漫画『鉄腕アトム』のエピソード「地上最大のロボット」を元にしたロボットSF作品だ。
人間と高性能ロボットが共生する近未来が舞台で、ロボットが次々に暗殺される怪事件を解決するために奔走するサスペンスドラマ。これまで一度もアニメ化されたことはなく、2023年についにNetflixオリジナル制作でアニメ化を果たした。
その完成度はかなり高く、『メタルギア』シリーズで知られる世界的ゲームクリエイター・小島秀夫さんが、SNSで「『プルートウ』最終話まで観終わった! 素晴らしい!」「ただ闘うだけのロボット・アニメやヒーロー・アニメとは一線を画す。これぞ日本のMANGAであり、アニメーションだ」と太鼓判を押したほどだ。