今年7月からはじまった新作アニメ「完璧超人始祖編」が絶賛放送中の『キン肉マン』(ゆでたまご 原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)。本作では、さまざまな超人の必殺技が登場する。『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた当時、「キン肉バスター」や「キン肉ドライバー」、「マッスル・スパーク」など、主人公・キン肉スグルが繰り出す必殺技による大逆転劇には大興奮したものだ。
さて、そんな『キン肉マン』には、ネーミングや躍動感に痺れる必殺技がたくさん登場していた。そこで当時のジャンプ読者を魅了した、インパクト十分のカッコいい必殺技を振り返ってみたい。
■カメハメ直伝! 躍動感あふれる「風林火山」
まずは、ハワイ王者のジェシー・メイビア戦で初披露となった「風林火山」だ。返し技の達人であるメイビアに苦戦するキン肉マン。そこで、自らリングに寝そべり、メイビアにフィニッシュホールドをかけろと促す。
これまで自分から仕掛けてこなかったメイビアが自ら動いて技をかけにいき、まずは山が動く。そして「キミにとって相手の力を利用しない技など クリープをいれないコーヒーと同じだ」と、キン肉マンらしからぬ(!?)難しい理論を披露。大丈夫かスグル!
そして「くらえ 48の殺人技No.3! 風林火山!!」の掛け声とともに「疾きこと風のごとく!!」とリングを駆け回りアーム・ホイップ。次に「しずかなること林のごとく!!」とローリング・クレイドルで空中を駆けのぼり、「侵掠すること火のごとく」でパイル・ドライバーを決める。
ここまでも十分にカッコいいのだが、ラストの決めは「動かざること…山のごとし―っ!!」でロメロ・スペシャル(連載当時はリバース・ロメロ・スペシャル)をかけ、メイビアを圧倒し、勝利した。
この躍動感がなんとも素晴らしい。歴史好きの筆者だが、武田信玄や孫子の「風林火山」がネーミングになっていること自体、興奮したものだ。
そして、一番カッコいいのがラストシーンのキン肉マンの言動だ。ハワイチャンピオンベルトを師匠のカメハメに渡そうとしたところ、受け取らないからとハワイ超人協会に返上。さらに、賞金の1万ドルまで返還するという男気を見せていた。
ただ、そのせいで太平洋を泳いで次の遠征地のアメリカに向かうことになってしまっていたが……。なぜか一緒に泳ぐ中野さんが面白かった。
■ウルフマンの身体が…バネって最強なんだと思わせた「デビル・トムボーイ」からの「螺旋壊体搾り」
本作のなかでも衝撃の必殺技といえば、スプリングマンの「デビル・トムボーイ」からの「螺旋壊体搾り」を忘れてはならない。
鳥取砂丘でおこなわれた、ウルフマン対スプリングマンの一戦。圧倒的パワーで優勢だったウルフマンだが、ボディスラムを何度も繰り出し、その結果、足場の悪いリングの地盤を固めることに協力してしまう。するとスプリングマンはリング外にジャンプして岩を削り落とし、なんと巨大な階段を作り出した。
ここからバネの特性を利用して階段を猛烈な勢いで跳ね下りてきて、ウルフマンの体にスポッっと巻き付いたスプリングマン。バネの弾性力を活かした締め上げに耐えられず、ウルフマンは身体を粉砕されてしまった。
ミート君のようにつなげれば助かるんじゃ……と当時は思ったのだが、それにしてもこの技のインパクトはとてつもなかった。まさに悪魔超人の技といえるものだ。裸のウルフマンにとって、あのバネはちょっと挟まれるだけで激痛だろうし、たまったものではない……。