■“受験編”のあとも続く「美大での戦い」

 これが“受験編”と呼ばれる6巻までの内容です。テレビアニメも、今回の実写映画でも、映像化されたのはこの6巻まで。美大受験という特殊なテーマですが、夢を叶えるために奮闘するストーリーには普遍性があり、美術とは無縁な読者の胸もアツくしてくれます。

 また、合格するために必要な勉強やテクニックなど、リアルなエピソードやうんちくも散りばめられています。この漫画で「芸術=才能がすべての世界」といったイメージが変わった、という読者も少なくないのでは。このあたりが人気を集める理由なのでしょう。

 そして、連載は現在も続いています。東京藝術大学に合格したかどうかのネタバレは避けますが、現在の八虎は美大の2年生。受験を終えても、クセの強い指導陣に囲まれ、天才ライバルに劣等感を抱き、難題や伝統、特殊な価値観を前に何度もくじけそうになり……今度は美大というフィールドで、闘い続けるのです。

 美大がいったいどんなところなのか、何を学ぶのか、どんな天才がいるのか、卒業したらどんな仕事に就けるのか。好奇心とともに、八虎の挑戦を見守り、見届けたくなる……今後の展開に期待が高まります。

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