『機動戦士ガンダムUC』の冒頭シーンで描かれた「クシャトリヤvsスタークジェガン」の戦闘シーンは、ガンダム好きの胸を熱くした場面として知られている。
ファンネルによって僚機が倒されたのを確認するや、即座に手持ちの実弾兵器を撃ちきって武装をパージ。ファンネル対策の接近戦へと移行し、機体のパワー負けを察するとヒットアンドアウェイを徹底する。さらに太陽を背にしてのサーベル刺突……と、短い戦闘のなかでマニアを唸らせる細かい描写は挙げたらキリがないほど。
実は『ガンダムUC』には、このようなマイナー機体が予想を超えた活躍をするシーンが数多く描かれている。そのなかでも、とくに心を惹かれたシーンを紹介したい。
■音もなく忍び寄る忍者「イフリート・シュナイド」
「イフリート」は、一年戦争時のMSでグフとドムの間に開発された機体である。有名なのは「EXAMシステム」搭載のイフリート改だが、一年戦争から16年も後の『ガンダムUC』の世界で、イフリートを改修した「イフリート・シュナイド」の活躍が描かれた。
地球の各地に潜伏していたジオン残党軍が、一斉に連邦のトリントン基地を襲撃。イフリート・シュナイドはサブフライトシステムに乗り、上空から基地を急襲した。
遠距離からバズーカを放ったあと、ジムIIを現地改修した「ジムII・セミストライカー」と交戦。どちらも近距離戦闘に特化した機体ながら、イフリート・シュナイドが格闘戦においても圧倒する。
高熱を発する短刀「ヒート・ダート」で斬りつけると、セミストライカーの盾に当たった刃が破損。セミストライカーがツイン・ビームスピアで反撃に出たところ、素早い身のこなしで懐に潜り込んで回避し、そのまま右手のヒート・ダートでセミストライカーの胴体を貫いた。
戦闘シーン自体は短かったが、格闘戦に特化した機体同士の駆け引きは見ごたえがあり、スローモーションで何度も見返したくなった名勝負である。
■みんな待望の映像化「ジュアッグ」
「ジュアッグ」は、一年戦争時にジャブロー攻略戦のために開発されたジオンの水陸両用MSである。しかし、初代『機動戦士ガンダム』のアニメには登場せず、あの印象的な外観はMSVのプラモデルで知った人も多いことだろう。
象の鼻のような排熱ダクトが特徴で、両腕の指先がすべてロケットランチャーという、異様なビジュアルをしている。
ジオン残党軍によるダカール襲撃に参加したジュアッグは、一年戦争時の機体ながらジムII、ジムIII、ネモを相手に奮戦。3連装ロケット・ランチャーでジムIIを仕留めると、空から現れたネモと近接戦に突入する。
ネモのビーム・サーベルを右腕で受けとめると、左腕の先端でネモの胴体を串刺しに。さらに僚機のカプールを倒したネモの突進をメガ粒子砲で阻止し、無力化した。
しかし、そこに現れたジムIIIのビーム・ジャベリンで左腕のロケット・ランチャーを切断されると、ジャベリンで胸部を刺されてしまう。なおも右腕のロケット・ランチャーで反撃を試みようとするも、連邦側の追撃が直撃してジュアッグは力尽きた。
この一年戦争時の旧式機体の大立ち回りは、多くのファンを感動させた。